健康

2023.02.05

米国のアルコールへの執着、いつか消える日は来る?

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米国人は、アルコールに対して執着がある。

米国の主な社交の場では、ほぼ毎回何らかの形でアルコールが提供されていて、ハッピーアワーや記念日パーティー、祝典などでは高い確率で酒が出る。酒類の宣伝や広告では酒を美化するため魅力的なモデルが起用され、酒は潜在意識のレベルで成功や幸せ、喜びと結びつけられている。また映画やミュージックビデオ、テレビなどを通してポップカルチャーでも推進されている。

アルコールは、米国の文化や生活で正常化されてきたが、それでも酒は米国のみならず、世界中で最も広く使用される「薬物」だ。酒はこれまでもこれからも、薬物であり続ける。アルコールをタバコやオピオイド、コカインなどと同じ分類で考えたことがない人が大半だが、酒は健康に悪影響を与え、依存症を引き起こす力を確実に持っている。

米疾病対策センター(CDC)によると、過剰なアルコールの摂取による死者数は2015〜19年の間、米国で毎年14万人以上に上り、損失生存可能年数(YPLL)は約360万年だ。18歳以上の米国人の86%近くは、これまで一度は飲酒したことがあると報告していて、酒が米国人の生活に広く浸透していることが示されている。

18歳以上の米国人の26%近くは2019年、調査前月に短時間で大量の飲酒をしたことがあると述べている。「短時間で大量の飲酒」とは、男性の場合1回で5杯以上、女性の場合4杯以上消費することを指す。

こうした憂慮すべきデータにもかかわらず、米国人は飲酒を続けている。アルコールの有害な影響がメディアに取り上げられることはほぼなく、教育分野でも関心が持たれない。米国における予防可能な死因3位はアルコールなのに、オピオイドのまん延と比べてこうした事実を耳にすることは少ない。

さらに、適度な飲酒(特に赤ワイン)は心臓血管系によいという情報を誤って信じている米国人は多い。しかし現在の研究からは、適度な飲酒が心疾患を予防することはなく、こうした健康効果はないことが示されている。

アルコールの消費はたとえ適量であっても、肝臓がんや食道がん、乳がんなどのがんや心臓病、脳卒中、高血圧、さらには家庭内暴力(DV)に関連したけがや、転倒、性的暴行、銃による暴力事件のリスク上昇といった、医学・健康面でのさまざまな問題とリンクしている。
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翻訳・編集=出田静

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