この散光星雲Sh2-54(地球から約6000光年離れたへび座の中にある)の輝きは、チリにある欧州南天天文台(ESO)に設置された直径4.1メートルの可視光および赤外線天体探査望遠鏡(VISTA)の6700万ピクセル赤外線カメラ(VIRCAM)が捉えられたものだ。
天の川銀河で最も壮観な星野にあるSh2-54は、VISTAの可視光および赤外線両方で発見された。
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)と同じく、VISTAは電磁スペクトルの人間の目には見えない部分を感知することができる。可視光ではなく熱放射を感知することで、電磁スペクトルの赤外線領域の一部を検知できる。
星雲Sh2-54の驚くべき画像2枚を見てほしい。星が誕生する膨大なガスと塵からなる雲だ。
上(本記事のメイン画像)は赤外線バージョンで、下の画像がESOの超大型望遠鏡VLTが生成した可視光バージョンだ。
この星雲Sh2-54の華麗な画像は、チリにあるESOパラナル天文台のVISTA望遠鏡を使って撮影された。通常可視光では明瞭に映る塵とガスの雲がここでははっきりとは見えず、この波長の光では星雲の背後の星星の光も見ることができる(ESO/VVVX)
2つの画像の違いは明白で、赤外線バージョンは可視光では見えなかった塵に隠された星々を映し出している。これは、可視光が星雲の塵の雲には吸収されるのに対して、赤外線は塵の厚い層をほとんど妨げられることなく通過し、望遠鏡に届くからだ。
JWSTほど感度は高くないが、VISTAも同じ理由で存在している。夜空のまだ見たことのない天体を見つけるためだ。
JWSTの能力(および存在理由)を示す好例が「創造の柱」の画像だ。1990年代にハッブル宇宙望遠鏡(HST)が撮影したものとほぼ同じ領域を赤外線によって再現した。
縦位置123メガピクセル(8423x1万4589ピクセル)の163.4MB「フルサイズオリジナル」画像は、TIFF形式でダウンロードできる。さらに、ブラウザーで探索できる巨大なズーム可能なバージョンや、1MBサイズの「スクリーンサイズJPEG」や、デスクトップパソコンやタブレット、スマートフォンなどに最適な壁紙サイズの画像もたくさんある。
今回のVISTAの画像は、VISTA Variables in the Via Láctea eXtended (VVVX)と呼ばれる、天の川銀河を赤外線波長で定期的に観測する探査プロクラムの一環として撮影された。
この図は、へび座の星団NGC 6604の位置を示している。ここには好条件なら肉眼で見える恒星の大部分が記されており、NGC 6604星団は薄い赤い円で示されている。星団そのものは小さな望遠鏡でも見ることができるが、星雲の光は非常に微弱で、20世紀半ばに写真によって発見された(ESO, IAU AND SKY & TELESCOPE)
澄み切った空と大きな瞳に願いを込めて。
(forbes.com 原文)