カリフォルニア州に拠点を置くAstroForgeは、そんな状況を変えようとしている。しかも比較的に早く。
「当社初の深宇宙ミッションは、枯渇しつつある地球資源を保護し、鉱業による有害廃棄物から環境を守る現実的かつ短期的なソリューションとして小惑星採掘を推進するAstroForgeの進展を加速するものです」とAstroForgeの共同創設者・CEOのマット・ジアリッチはいう。
同社は1月24日、2023年中に2つのミッションを遂行し、地球外で行う新たな採掘・製錬プロセスへの道を開く計画を発表した。
最初のミッションはOrbAstroと提携し、その他数多くの貨物とともにSpace X Falcon 9に相乗りして4月に打ち上げ予定となっている軌道内デモンストレーションだ。目標は、無重力状態における同社の製錬能力を検証することだ。
「宇宙船には小惑星に似た物質があらかじめ積載されており、搭載された製錬装置がそれを気化して元素成分に分類します」と同社はブログで述べている。
10月に予定されているもう1つのミッションもSpaceXの相乗りだが、行き先は月だ。AstroForgeと提携するIntuitive Machinesは着陸船を月面に着地させることを目的にしている。
しかしAstroForgeは月に着陸するのではなく、同社の深宇宙船Brokkr-2aを宇宙へ送り込む。Intuitive Machinesの着陸船Nova-Cが月面に降下するために離脱する際、Brokkr-2はミッション独自の道を進んで深宇宙を探索し、まだ公開されていないAstroForgeが標的とする小惑星の1つを訪れる。
Faclon-9に相乗りするNova-CとBrokkr-2(Intuitive Machines)
これらすべてが、AstroForgeによる史上初の歴史的な回収ミッションへとつながる。ミッションは早ければ2025年に実行される。
小惑星採掘は、この10年間に大きく勢いを増し、Deep Space IndustriesやPlanetary Resourcesなどのスタートアップが大きな注目と投資を受けている。しかしいずれの会社もまだ小惑星に到達していない。
AstroForveはそれらと比べると小さな会社で、昨年1300万ドル(約16億8000万円)のシードラウンドを発表しただけだ。
この10年間で打ち上げ、軌道、その他の宇宙サービスを提供する新たな経済が台頭してきた。その多くの基盤をなしているのが、小さいけれど数が増えている打ち上げ会社で、SpaceXとその再利用可能ロケットは、宇宙へのアクセスコストを大きく引き下げた。
かつて公共セクターに独占されていた分野が、今やAtroForgeのような初期ステージのスタートアップにも道が開かれている。
もちろんそれは、すべての工程が計画どおりに進めばの話だ。これまでに数多くのベンチャー企業が示しているように、宇宙は困難で、事実上何1つ保証されていない場所であることには変わりがない。
(forbes.com 原文)