宇宙

2023.02.03

小惑星で商業的採掘を行うAstroForge、2023年にデモを予定

Getty Images

地球で最も貴重で、価値の高い金属には、宇宙に漂う比較的簡単にアクセス可能な小惑星で見つかるものもある。小惑星の採掘という儲かりそうな利権話は数多くの野心的起業家を魅惑したが、これまで宇宙の岩石を地球に持ち帰ることに成功したのは国の宇宙機関だけだ。

カリフォルニア州に拠点を置くAstroForgeは、そんな状況を変えようとしている。しかも比較的に早く。

「当社初の深宇宙ミッションは、枯渇しつつある地球資源を保護し、鉱業による有害廃棄物から環境を守る現実的かつ短期的なソリューションとして小惑星採掘を推進するAstroForgeの進展を加速するものです」とAstroForgeの共同創設者・CEOのマット・ジアリッチはいう。

同社は1月24日、2023年中に2つのミッションを遂行し、地球外で行う新たな採掘・製錬プロセスへの道を開く計画を発表した。

最初のミッションはOrbAstroと提携し、その他数多くの貨物とともにSpace X Falcon 9に相乗りして4月に打ち上げ予定となっている軌道内デモンストレーションだ。目標は、無重力状態における同社の製錬能力を検証することだ。

「宇宙船には小惑星に似た物質があらかじめ積載されており、搭載された製錬装置がそれを気化して元素成分に分類します」と同社はブログで述べている。

10月に予定されているもう1つのミッションもSpaceXの相乗りだが、行き先は月だ。AstroForgeと提携するIntuitive Machinesは着陸船を月面に着地させることを目的にしている。

しかしAstroForgeは月に着陸するのではなく、同社の深宇宙船Brokkr-2aを宇宙へ送り込む。Intuitive Machinesの着陸船Nova-Cが月面に降下するために離脱する際、Brokkr-2はミッション独自の道を進んで深宇宙を探索し、まだ公開されていないAstroForgeが標的とする小惑星の1つを訪れる。
 

Faclon-9に相乗りするNova-CとBrokkr-2(Intuitive Machines)

これらすべてが、AstroForgeによる史上初の歴史的な回収ミッションへとつながる。ミッションは早ければ2025年に実行される。

小惑星採掘は、この10年間に大きく勢いを増し、Deep Space IndustriesやPlanetary Resourcesなどのスタートアップが大きな注目と投資を受けている。しかしいずれの会社もまだ小惑星に到達していない。

AstroForveはそれらと比べると小さな会社で、昨年1300万ドル(約16億8000万円)のシードラウンドを発表しただけだ。

この10年間で打ち上げ、軌道、その他の宇宙サービスを提供する新たな経済が台頭してきた。その多くの基盤をなしているのが、小さいけれど数が増えている打ち上げ会社で、SpaceXとその再利用可能ロケットは、宇宙へのアクセスコストを大きく引き下げた。

かつて公共セクターに独占されていた分野が、今やAtroForgeのような初期ステージのスタートアップにも道が開かれている。

もちろんそれは、すべての工程が計画どおりに進めばの話だ。これまでに数多くのベンチャー企業が示しているように、宇宙は困難で、事実上何1つ保証されていない場所であることには変わりがない。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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