FTX破綻など逆風のWeb3 「冬の時代」でも日本がチャンスの理由

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ビルダーが投資家の役割を奪う

水野:六人部さんのように金融もスタートアップも経験しているという人は珍しい気がします。現在取り組まれているTanéは、どんなことをしているんですか?
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六人部:僕たちは“Crypto Builders Incubator”と名乗っていて、2023年1月から起業家の自分とエンジニアのメンバーで投資や事業支援活動を開始したところです。1月27日には、約10億円の資金調達を発表しました。



僕は、ビルダーが今後、投資家の役割を奪っていくという仮説をもっています。Web3の世界では面白い現象があるんですよ。エンジニアがプロジェクトを手伝うと、報酬が円やドルではなくトークンだったりすることがある。いろいろなプロジェクトを経験していくうちに、所有トークンが20種類になっているみたいなエンジニアの友人もいます。それって投資家みたいだなと思ったんですよね。
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水野:面白い!株だとそこまで簡単に渡せないですもんね。

六人部:そう。そこに面白さを感じて、単に投資家としてではなく、コミュニティの一員として事業を一緒に創っていくイメージで「インキュベーター」なんです。他のファンドと比べたときに起業家やエンジニアのバックグランドがあるメンバーが中心となっていて、そういった点で違いがあるかなと思います。日本のVCや上場企業とのネットワークもあるので、プロジェクトチームに紹介したりもしています。

水野:拠点はドバイとニューヨークと東京の3都市にあるそうですね。

六人部:ドバイはやはり税制・規制などの面でクリプトフレンドリーだった点が大きいです。地理的にもヨーロッパやアフリカ、アジアのハブになっているし、時間帯も欧米と近いので働きやすい。ニューヨークを選んだのは、やはり多くのクリプトプロジェクトはアメリカで始まるので、拠点が必要だろうと判断したためです。

※ビルダー:事業やプロダクトを作っていく人たちのこと

Web3プロジェクトの「玉石混交」終わった

水野:2022年、Web3は「冬の時代」なんて言われていますけど、投資する側としては現状をどうみていますか。以前は起業家が有利で調達しやすかった印象ですが。

六人部:その通りだと思います。FTX破綻前から投資を控えている人が多かった印象ですね。ただ、しっかりと進んでいるプロジェクトは資金が集まり、戦いやすいでしょう。良いプロジェクトとそうでないものが整理され、「玉石混交」感がなくなった感じがします。
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文=水野和寛 編集=露原直人

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