AI

2023.02.02

「AIスーツケース」、目が不自由な人のためのナビゲーションロボット

プレスリリースより

キャリーバッグの形をしていて、目が不自由な人の移動をアシストするナビゲーションロボット「AIスーツケース」が間もなく実用化されます。いくつかの企業が共生社会の実現を目指して協働する「次世代移動支援技術開発コンソーシアム」によって開発が進められていますが、昨年11月いっぱいで終了するはずだった活動予定を1年間延ばし、社会実装を加速させることを決めました。

AIスーツケースは、各種センサーで周囲の状況を把握し、モーターで自走しながらユーザーを目的地まで導くロボットです。ハンドルには振動や動きで進む方向などを伝えるほか、音声によるガイドもあります。安全に路上を歩けるようにユーザーを誘導する仕組みには、自動車の自動運転技術とほぼ同じハードウェアとソフトウェアが使われてます。


コンソーシアムには、アルプスアルパイン、オムロン、清水建設、日本IBMの4社が参加し、バッグメーカーのエースも協力しています。アルプスアルパインは、ハンドルに埋め込まれた方向指示器などの触覚インターフェイスを開発しました。オムロンは、周囲の歩行者の視線や体の動きを感知して衝突の危険性を予測する画像認識技術を、日本IBMは、人工衛星を使った高精度な測位技術「RTK-GNSS」による屋外走行、屋外から屋内への連続走行、で対話AI、クラウドなどの技術を提供しました。清水建設は、ロボットやナビゲーションの技術を提供しています。

また日本IBMは早稲田大学と共同で、地図データがない環境でも道路の交差点を検出しながらナビゲートできる技術を開発しています。さらに、準会員である三菱自動車はモビリティーサービスを提供し、カーネギーメロン大学も視覚障害者支援技術で協力しています。

基本的なシステムは完成し、2022年9月から1カ月間、三井不動産が管理する日本橋宝町地区の5つのビルと地下鉄三越前駅の地下道とにわたる大規模な実験を行い成功させています。数分間の練習の後、30分から1時間、AIスーツケースで街を歩いた実験の参加者からは、「人とぶつからずに移動できて感動した」、「自分一人で歩ける達成感がある」、「長い距離を歩いてウィンドウショッピングをした気分になれた」といった意見が聞かれました。

今後もさらなる研究開発を進め、ビジネスモデルの確立、制度やインフラの整備など、社会実装のための課題解決に取り組むとしています。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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