毎年恒例のテックショーでは、巨大なテレビやドローン、電気自動車などの展示が主役だ。会場となったホテルでこの小さな望遠鏡はいったい何をしていたのか?
eVscope eQuinox 2は友人宅でホコリを被っているような、これまで目にしたことがあるほとんどの望遠鏡とは違う。eVscope eQuinox 2には接眼レンズ(アイピース)がなく、この望遠鏡を通して夜空を見ることはできない。彼方の銀河や星雲、星団などから届く光をあなたの目で集める代わりに、そのフォトン(光子)は直接ソニーのIMX347センサーに届く。
eVscope eQuinox 2は星を眺めるのではなく、天体写真の撮影に特化したプロダクトだ。この望遠鏡が仕事をしている間、あなたは室内に座って、画像がスマートフォンに送られてくるのを待つだけでいい。
フランス企業Unistellarが設計した。同社は世界中の山頂に設置されているプロ用望遠鏡を作っており、それらは巨大な鏡を使って光を集め、イメージセンサーに画像の焦点を結ばせる。この方法で、天文学者たちは銀河をはじめとして巨大な宇宙で注目するすべての画像データを得ることができる。ハッブル宇宙望遠鏡やジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、基本的に同様に機能している。
2021年に発売されたeVscope eQuinoxに続くこの第二世代モデルは、従来のプロ用望遠鏡とは異なり、はるかにスリムだ。ミラー口径114mm、焦点距離450mm、口径比(F値)4、倍率50倍の反射望遠鏡であるeVscope eQuinox 2は、重量9kgで自動導入経緯台、持続時間11時間の充電バッテリー、および64GBのストレージを備えている。6.2メガピクセルのJPEGまたはRAW形式の画像を生成。シェアや後処理も容易だが、eVscope eQuinix 2最大の特徴は、自律的に動作することだ。
スマート望遠鏡を裏庭(ベランダでも)に設置すると、望遠鏡は空に見える星々と内蔵コンピュータのデータベースを比較しながら自動で目標を定める「プレートソルビング」を行う。数分以内で準備は完了する。
スマホアプリを使うことで、eVscope eQuinox 2が観測する遠距離天体をリストから選ぶことできる。データベースに登録された天体には、それぞれの露光時間とISO感度が記録されているので、あなたのすべきことは「待つ」だけだ(設定を変更することも可能)。