ゲイブリエルらはアーカイブデータの分析に加えて、これらの明るい岩石を再び研究する新たな機会を探し求めた。明るい色のフラクチャーハローの穿孔地点、ルバンゴにキュリオシティが到着すると、ゲイブリエルは探査車の機器を使って詳細な測定を行い、そのオパールに富む組成を確認した。
火星の地表近くに伸びる岩盤を横断するオパールに富んだハロー(MALIN SPACE SCIENCE SYSTEMS/NASA/JPL-CALTECH)
このオパールの発見が重要なのは、シリカが水溶液になっている状態で形成された可能性があるからだ。砂糖や塩が水に溶けるのと同じプロセスだ。塩が多すぎたり、状態が変化すると、容器の底に固体が溜まり始める。地球では、湖や海の底でシリカが水溶液から析出し、温泉や間欠泉で作られる。イエローストーン国立公園で見られるものと似た状況だ。
ゲールクレーターのオパールは火星の近代に形成されたと科学者は考えているため、火星表面近くの地下にある亀裂群は、表面の過酷な環境よりもずっと住みやすかったかもしれない。
「ゲールクレーターで見つかった広大な亀裂群を見ると、居住可能性が高いと考えられるこの表面近くの状態がゲールクレーターのその他多くの領域や、火星の別の領域にも広がっていると期待するのは理にかなっています」とゲイブリエルはいう。「こうした環境は、ゲールクレーターの中で古代の湖が干上がってからはるか後に形成されたのかもしれません」
火星でのオパール発見は、未来の宇宙飛行士にとっても有用であり、今後の探査ミッションがこの広大な水源を利用できる可能性があるという意味でも重要だ。オパール自体は主に二酸化ケイ素と水という2つの成わから成り水分の割合が重量比で3~21%、そこに鉄などの不純物がわずかに含まれている。これは、細かく砕いて加熱すればオパールが水を放出することを意味している。以前の研究でゲイブリエルは他のキュリオシティ研究者らとともに、このプロセスを正確に再現してみせた。火星の他の場所にもオパールが存在することを示す衛星データによる有力な証拠と相まって、この物質が将来の火星探査における貴重な資源になる可能性はある。
資料提供:アリゾナ州立大学
(forbes.com 原文)