ライフスタイル

2023.01.08 12:00

圧倒的な価格力「日産サクラ」の人気は衰え知らず

坂元 耕二

「アドバンスドドライブアシストディスプレイ」と呼ばれる7インチのメーターパネルと、ダッシュボード中央の9インチのスクリーンが意外なサイズとクオリティなのにも驚いた。

室内の写真

ハンドル左側にあるスイッチを押すと、ホーム(速度計とパワーメーターをメインで表示)、EVグループ、エコグループ、走行支援グループ、オーディオ情報、などの順で表示項目が切り替わるので、ドライバーは好きなように走れる。

液晶画面の写真

後部座席を最も後ろにスライドさせれば、中型車並みワゴンと同様の広いレグルームが生まれるので、大人でも楽に座れる。当然、この車両はいわゆる「ハイトワゴン」なので、ヘッドルームも十分ある。

駆動用モーターは、フロントボンネット下に搭載されている。最高出力は軽の自主規制値に合わせた64psだけど、最大トルクは2リッターのガソリンエンジン級の195Nmを発生するので、どの軽自動車よりも加速性は優れている。ゼロ発進の力も十分あって、例えば、速度30km/hでの追い越しシーンの加速でも十二分だ。

サクラはシャシーも優秀だ。今回は高速道も意識して走ってみたけど、EV化に合わせた車体の高剛性と低重心のおかげで、どの軽ハイトワゴンよりも非常にフラットにコーナリングができるので、安心して乗っていられる。また、渋滞した市街地や高速道路での静粛性は良い。

サクラの一充電あたりの走行距離は、WLTCモードでは180kmだけど、たとえば今みたいな真冬に、エアコン(暖房)をかけながら走ると、電欠を気にしないで走行できる距離は頑張っても、120km前後だ。急速充電ももちろん可能だが、サクラ側は最大30kWの充電しか対応していないので、充電には多少時間はかかる。もともとの電池容量も小さいので、一回30分間ずっと30kWレベルで充電できるわけでもない。30分で上乗せできる距離は数十kmが現実で、いかに好条件でも、おそらく100kmには届かないだろう。

さて、前述の「e-Pedal」だけど、サクラに用意されているのは日産の代表的な「e-Pedal」。基本的にアクセルオンなら加速するし、アクセルオフは減速する方式になっている。さらに「エコ」「スタンダード」「スポーツ」というドライブモードを切り替えると、加速特性だけでなく、e-Pedal作動時に実際の減速がはじまるタイミングが変わる。アクセルを緩めた瞬間から吸いつくような減速が欲しければ、e-Pedalスイッチを選び、Bレンジにレバーをシフトすれば回生ブレーキが最も効く。

ということで、サクラは今まで登場したどのEVの中でも、最も欲しがられる軽自動車と言えるだろう。そのシャープな外観、軽快な走り、市内で走る程度の十分な航続距離、そして何よりも低価格のEVであることが、サクラの売りのポイントだね。EVに乗りたいと思うなら、サクラはエントリーカーとしてはピッタリだろう。このクルマならEVという概念を変えるかもしれない。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター ライオン

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