圧倒的な価格力「日産サクラ」の人気は衰え知らず

日本カーオブザイヤーで軽で初の偉業を成した「日産サクラ」

「ジャストサイズな」日産サクラは、昨夏から年末までに4万台以上の受注が入るほどのヒット商品になった。サクラは、日本市場がずっと欲しがっていた軽の電気自動車だ。サクラと共同開発された三菱eK X EVの受注を足せば、5万台を超える。やはり、軽のサイズで、目にやさしいデザイン、180kmという航続距離、そして手ごろな価格のEVはこれまでなかったのだから。

サクラのバカ売れの最大の理由は、なんといっても安さだろう。中間グレードのサクラXなら、CEV(クリーンエネルギービークル)補助金と自治体の補助金を合わせて使えば、254万円の基本価格が、なんと180万円台で購入できるわけだ。今回、僕が乗った290万円の最上級グレードのサクラGでも、補助金を上手く使えば、230万円程度になる。これなら、本当はEVに乗りたいけど高くて乗れないと思っていた顧客も買える価格になる。

また、そのシャープなルックス、広々とした室内、軽快な走り、質感、乗り心地、航続距離などもメディアに高く評価されて、サクラは2022─23年の「日本カーオブザイヤー」において年間最優秀車賞を獲得した。これは、軽自動車としての初の快挙だった。

サクラの人気の秘訣は色々あるけど、ひとつにはデザインだね。同車はとても近寄りやすい、やさしくてスタイリッシュな軽と言えるし、日産の代表的なVモーショングリルは省略されているけど、軽なりのシックさ、軽として品があると思う。

運転席の写真

内装もそう。今回乗ったGグレードには、本革巻きステアリングホイール、インテリア照明などがセットとなる「プレミアムインテリアパッケージ」が選択されていたけど、今までに乗ってきた軽の中で一番ゴージャスだと思う。

しかも、期待していたよりも技術的なレベルはかなり高かった。バイワイヤ式のシフトセレクターレバー右側に、アクセルオフでの減速度を高める「e-Pedal」(後程詳しく説明)と「プロパイロットパーキング」の作動スイッチが配置されていたので、ワンランク上のハッチバックのような感覚だった。

シフトレバー部分の写真

助手席前のダッシュボードには、インストスライドボックスやグローブボックスが組み込まれているし、多彩な収納アイテムが用意されているので、使い勝手がいい。2つの液晶ディスプレイを水平方向にレイアウトしたインストゥルメントパネルのデザインはスッキリしていて、使いやすい。
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文=ピーター ライオン

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