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テクノロジー

2023.01.05 13:30

中国ハイテク企業の取り締まりが続くがレノボは対象になっていない

米国商務省は、最近行われたエンティティリスト(取引制限リスト)更新を通して、中国軍と連携している数十の組織に対する制限を強化した。だが、中国政府所有のレノボはまだ監視の目を逃れている(Getty Images)


米軍は以前からレノボの危険性を知っていた。2008年、イラクにいた米海兵隊は、この機械が中国にデータを送信していることを発見し処分した。2015年、米空軍は中国が米国の弾道ミサイル技術に関するデータにアクセスすることを恐れ、レノボが買収したIBMサーバー部門の機器(3億7800万ドル[約496億円]相当)をただちに入れ替えた。2019年の米国防総省(DOD)のIG報告書には「既知のセキュリティリスク」と特徴づけられたレノボ製品が国防総省の至るところにあることが記されている。残念なことに、2020年現在、DODを含む米国政府はレノボのノートPCを大量に購入し続けている。
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レノボは、現在はエンティティリストに掲載されるようになった中国の組織であるCASの計算機技術研究所(Institute of Computing Technology)から生まれた企業だ。CASは、民生品の知識を生み出すための普通の研究機関ではない。議会の米中経済安全保障検討委員会によると、CASは「中国の軍事、核、サイバースパイプログラムと関係がある」とされている。ちょうど国防総省とマサチューセッツ工科大学(MIT)が手を組んでいるように、中国軍向けの技術を開発する会社をCASが所有しているのだ。

商務省は、CASのコンピューティング部門を「中国の軍事的近代化を支援するための、米国原産品の取得や取得の試みに関連するさまざまな活動」への懸念から、エンティティリストに登録した。そうすると疑問が湧いてくる。CASが子会社を通じてかなりの株式を保有しているレノボのようなセキュリティ上の脅威が知られている企業が、なぜ米国内で自由に活動することが許されるのだろうか?

超党派の議会が中国のテクノロジーの脅威に立ち向かう機運が高まっている現在、米商務省はCASと軍事的に連携した傘下企業であるレノボとの関係を解消すべきだろう。中国政府系IT企業の一部を制限し、その他を制限しない米国の政策は、不必要に複雑で、悪用を招き、米国人を危険にさらすものである。レノボは、グローバル企業を軍事的利益のために活用する中国の技術国家主義戦略の見本例だ。これは、YMTCも目指していたものであり、チップメーカーのCXMT(長鑫存儲技術)が今でも目指しているものである。レノボは米国のシステムに深く入り込んでいるが、だからといって見逃さなければならないというわけではない。
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forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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