かつてウォルマートが所有していたスーパーマーケット大手のアズダと、ネットスーパー配送事業のオカドは、テクノロジー企業のウェイヴ(Wayve)と提携し、運転手のいないトラックを利用する可能性を探っている。
自律運転車は、カメラ技術と人工知能を駆使して、混雑した道路や不測の事態に対処している。ウェイヴのパートナーシップおよびビジネス開発担当ディレクター、ケイティ・フィッシャー(Kaity Fischer)は、「自律運転車は、決して睡魔に襲われない。酒に酔うこともない。すべての事故の96%は人的ミスによって起こっている」と述べる。
ウェイヴの技術は、ジャガーの電気自動車「I-Pace」を使って開発された。アズダと提携した12カ月間にわたる試験がすでに始まっているほか、ロンドンにおける特定の郵便番号の地域を対象にしたオカドの配送ルートに関しても、間もなくテストが開始される。フィッシャーは試験場所を明らかにしなかったが、オンラインショッピングがすでに盛んなロンドンの一部で行われているようだ。
自律運転トラックの運転席には、必要があればハンドルを操作できる「セーフティ・オペレーター」が座っているが、基本的には「ドライバーなし」が意図されている。
さらにこの実験では、買った品物を自分で降ろす顧客が、割引を受けられるようにすることも検討されている。
投資を引きつけるウェイヴ
ロンドンのキングス・クロスに拠点を置くウェイヴは2017年に設立され、2021年にオカドから1210万ドルの投資を確保した。規制変更や自律運転車両向けの保険といった障害は残っているが、フィッシャーはこう話す。「我々の目標は、ロンドンで立ち上げ、ロンドンで成長するというものだ。この業界は巨大だ。そして、英国はそこで負けるのではないかと私は感じている。重要な推進力となるのは法律だ。技術は準備できている」
ウェイヴはすでに4400万ドル以上を調達しており、エクリプス・ベンチャーズ(Eclipse Ventures)、バルダートン・キャピタル(Balderton Capital)のほか、ヴァージン・グループのリチャード・ブランソン卿、ローズマリー・リース(ティム・バーナーズ=リーの妻で、ワールド・ワイド・ウェブ財団の共同設立者)、機械学習等の高名な研究者ヤン・ルカンといったビジネス界の著名人からの支援を得ている。
ウェイヴは2021年9月、アズダと提携して、自律走行型配送トラックのトライアルを行うことを初めて発表し、その後2022年初頭にトライアルを開始する意向を示した。
このコンセプトは、ウェイヴのディープラーニング技術を基に、ロンドンの複雑な都市部の配送ルートをナビゲートするものだ。ウェイヴが自ら宣言したミッションは、「人工知能による自律移動を再構築」し、100都市で自律運転移動を展開する最初の企業になることだ。