北米に大被害を与えた「エリオット」、冬の嵐は今後「当たり前」になる

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このような最上級の表現が私たちを失望させる最も顕著な例は、過去5年の大西洋のハリケーンシーズンだ。わずか数年の間にハリケーン「ハービー」「マリア」「フローレンス」はそれぞれテキサス、プエルトリコ、カロライナズ(ノースカロライナ州とサウスカロライナ州)に広範囲におよぶ洪水をもたらし、100年に一度の洪水、そして1000年に一度の洪水とさえ言われる事態を引き起こした。この3つの事象はすべて大西洋に面した地域で約1年以内に起こった。異常事態というより「ニューノーマル」のようになり始めている。

広範囲におよぶ極低温や非常に厳しい冬の嵐を地球温暖化によって引き起こされた混沌とした気候変動の一部としてとらえることは、常識に反するかもしれないことは承知している。気候変動が「エリオット」にどれだけ貢献したのか、あるいは貢献したのかどうか、今はっきりということはできない。気候の影響が個々の気象現象の原因だと説明できる科学的なプロセスはあるが、それには少し時間がかかる。

しかし、これまでの100年の天候を見てきて、筆者は賭けてもいい。今回の冬の嵐は「世代に一度」の出来事とはそう長くは思われないだろう。

このように確信する根拠は次のとおりだ。気候変動は現在のところ北極圏や高緯度の地域に偏って影響をおよぼしている。北極やその周辺での異常で急速な温暖化は、ジェット気流に新たに、ときには奇妙な影響を与えることが研究によって明らかになっている。

この影響は米本土のもっと南の地域の天候に影響を与え、少なくとも隔年で紙面の見出しを飾るような極寒の冷気をもたらす。また、科学者の間でよく議論されるようになった、俗に「weather whiplash(気象のむち打ち)」と呼ばれる現象の一因にもなっている。

これは言葉の響きどおりで、デンバーが穏やかな晴天から「世代に一度」の寒さに変わったように、気象パターンが突然180度変わることだ。

このような最上級の表現を一時的に控えて、想定外の事態を想定し、「この事態はもう異常ではない」という新しい時代に備えて気を引き締めるときだ。

どこで過ごそうとも、この休暇はどうぞ暖かくして、安全に。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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