従業員レコグニション向上サービスを提供する企業ボーナスリー(Bonusly)が調査会社ワンポールに委託して実施したアンケート調査では、米国の被雇用者の46%が、自分に対する評価が低いとの理由で仕事を辞めていることが分かった。また65%が、自分の貢献度が経営陣に認知されていると感じた場合は、就業意欲が増すと答えている。
ただし、重要なのは管理職からの評価だけではない。上司から評価されていなくとも、同僚が自分の働きを評価してくれるならば、現在の仕事を続けるだろうとの回答は65%に上った。
従業員レコグニションの方法には、ボーナスの支給、口頭での称賛、手書きの感謝状など、いろいろあるが、どのような形であれ、従業員と組織の双方にとって多くのメリットがある。以下に、従業員レコグニションが以前にも増して重要視されている理由を幾つか紹介する。
欠勤が減少
スラックが立ち上げたコンソーシアム「フューチャー・フォーラム」が実施した最新四半期調査によると、米国のオフィス勤務者の43%が燃え尽きを感じている。その上、オフィス勤務への復帰を望まない従業員がいると、欠勤はおのずと増加する。実際、欠勤の口実がグーグル検索された件数は、2018年から22年にかけて630%も上昇している。
だが、社員の良い仕事ぶりに対する感謝を示せば、従業員のモチベーションは大きく向上する。継続的に評価することで、従業員に組織の目標を共有させ、仕事へのやる気も起こせるのだ。
エンゲージメントと生産性が向上
従業員レコグニションはさらに、働く人のエンゲージメントを高める効果もある。人事支援サービスを提供するクアンタム・ワークプレイスの調査によると、自分が経営陣に評価されていると感じる従業員は、エンゲージメントが高い人の割合が2.7倍だった。
また、従業員レコグニション関連サービスを提供するO・C・タナーが実施した従業員エンゲージメントに関するアンケート調査では、自分への評価が上がると良い仕事をしようというモチベーションが上がるとの回答が37%に上った。
大手会計事務所デロイトによれば、レコグニションと従業員エンゲージメントの改善との間には強い相関関係があり、これにより仕事のパフォーマンスが向上する。実際、従業員レコグニション制度を採用している組織では、制度のない組織と比較して、従業員エンゲージメント、生産性、パフォーマンスが14%高かった。