批判されるハリウッドの2世タレント「ネポベイビー」は何が悪い?

ブルックリン・ベッカムとニコラ・ペルツが、「In America」を祝う2022年メットガラに出席(Photo by Dimitrios Kambouris/Getty Images for The Met Museum/Vogue)

エンターテインメント業界における「ネポティズム(縁故主義)」について今年、インターネット上での議論が高まった。指摘されたのは、有名俳優やミュージシャンなどの子どもたちに与えられた“特権”だ。

セレブな親たちが支配するその業界に、「ネポティズム・ベイビー(ネポベイビー)」と呼ばれる2世タレントがはるかに容易に入れることは、明らかだ。だが、一部のネポベイビーがそのレッテルに反発。そのことで、注目を浴びた。

ミュージシャンのレニー・クラヴィッツと女優リサ・ボネットの娘、ゾーイ・クラヴィッツはGQ誌に、「親のおかげで人気を得られたのかと思うと、自信が持てない」と語った。だが、「親と同じ職業に就くのは、ごく普通のこと」だと考えているという。

一方、ジョニー・デップとヴァネッサ・パラディの娘、リリー=ローズ・デップはエル誌のインタビューで、自分に与えられた特権を完全に否定するような発言をした。

「間違いなく言えるのは、その役にふさわしいということ以外、その役を得られる理由はないということ」「きっかけは与えてもらえるかもしれない、でも、……すべきことがたくさんあるのは、その後」──空気が読めないデップのこの主張には、雪崩のように批判が殺到した。

その他のネポベイビーたちは与えられたアドバンテージについて、もう少し慎重な言い方をしている。

イーサン・ホークとユマ・サーマンの娘で、Netflixの人気ドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」に出演したマヤ・ホークは、「自分に特権が与えられていることはよく分かっている」として、ローリング・ストーン誌に次のように話している。

「大きなアドバンテージが与えられることは間違いない──“ただ”でチャンスが得られる。でも、それが無限にあるわけではない。だから、努力し続け、良い仕事をしなければならない」

ネポベイビーのグウィネス・パルトロウは、別のネポベイビー、ヘイリー・ビーバー(旧姓はボールドウィン)のYouTubeの番組に出演。この問題について、こう語った。

「ひとかどの人の子であることで、他の人たちがアクセスできないものにアクセスできるのだから、その意味で、競争の場は公平ではない……不公平な形でチャンスを得たなら、2倍くらい努力をして、人の2倍良くやらなければならない」
次ページ > 「ネポベイビー=問題」ではない

編集=木内涼子

ForbesBrandVoice

人気記事