人間がストレスなくデジタルと共存するには?
──xoriumは「実空間におけるデジタルとの心地よい共存」を基軸に作品制作をしています。これはどのような考え方なのでしょうか。
竹川:最近はさまざまなデジタルツールがあって、便利になってはいますが、僕ら人間が使うときにちょっと感情的に無理している、使いにくくても人間が合わせにいっているところがあるなと感じています。
例えば、僕らの作品「[Zi(長音記号)].framed」は三層のディスプレイを通して映像を見るデバイスです。これは、奥行きのないものに奥行きを感じさせる「パース」という表現方法を、もっと自然に体験できないかという発想から生まれています。
【PV】 [Ziː] HOMEWORKS2019
ディスプレイの方を重ねて奥行きを感じる映像を作った方が、人間としてはより違和感が少ないのではないかという意図です。そのように僕たちがデジタルに関して「こうした方が自然だよね」ということを作品で表現していることが多いですね。
中村:特に、僕らの身の回りに流通しているテクノロジーは、企業の都合でコストなどが勘案された末に存在しているものです。なので、そういうことを抜きにして考えたときに別のあり方があってもいいんじゃないか、という提案をしたいと考えています。
エンジニアの中村慎吾
中矢:僕は昔からデジタルガジェットや映像、ディスプレイといったものが好きで。ただ、デジタルの要素を日常の中にストレートに取り入れても、融合感がなくていまひとつ。なので、いかにクールに見せるかを考えています。例えば、プロジェクションマッピングを壁面ではなく「木」に投影するなど、違和感のない方向性や見せ方を模索しています。
──xoriumの強みは何ですか。
中村:3人の得意領域が絶妙にバラけていて、何を制作するにしても3人で完結できる点です。制作の幅も広くて、ショートフィルムを撮ったり、ハードをつくったり、ARもできます。少人数だからこそ、小回りの良さは強みかなと思っています。
あとは、作品の最終形が市場に出せるような製品のようにまとまっていることが多いことです。これは、我々がメーカーで製品開発に携わっていることが特徴として現れていると思います。