もしもリアルな自分とアバターが対峙したら
──プロダクト制作のアイデアはどこから?
竹川:自主制作作品は年に1度つくると決めていて、3人でディスカッションをしながら方向性を決めています。最近も、オンラインホワイトボードをつかって興味のある事柄をたくさん出し合って、深掘りしていくブレストをやりました。
「UNKOWN ASIA 2022」というアワードで審査員賞を受賞した作品「TERRA」は、霧に煙る森が閉じ込められた不思議なカプセル。このアイデアは、海の中で大量発生してしまったウニを駆除する動画が流行っているという話や、砂漠の水飲み場のライブカメラを見ている人が多いという情報をもとに、それがなぜなのかを深掘りしていったことで生まれました。
「TERRA」
そこから導き出された仮説は「人は空白を求めているのではないか」というもの。最終的に、時間に空白をつくるプロダクト、つまり現代版の焚き火のような存在って必要だよね、ということで作品になりました。
中村:ほかにも、“自身の存在の喪失”という恐怖を体感する作品「Tu fui,ego eris」は、VRチャットから着想しました。ゆくゆくは自分のアバターが勝手に自分の代わりに仕事をしてくれるような未来があるんじゃないかという話になって。
【PV】To fui, ego eris.
そこで、リアルな自分とアバターが正面から対峙することになったら怖いんじゃないかと考えました。テクノロジーの進歩は便利さばかりが強調されがちですが、違う未来もあるんじゃないかという提示ですね。