ビジネス

2022.12.28

NFTアーティストが直面する個人活動の限界 突破口は事業家との共創

IVS Crypto2022で行われた_aucitonの様子

Web3事業を手がけているMinto代表の水野和寛が、業界のオピニオンリーダーを招き「Web3 × クリエイターの未来」をテーマとした対談をお届けする本連載。

今回は、
・岡山佳孝氏 海外パブリックブロックチェーンのマーケティングチームに所属しながら、NFTアートのオークション「_auction」のファウンダー
・tama5氏 イラストレーターで近年NFTの世界にも進出しているクリエイター

に話を聞いた。


長期的な視点を持って、クリエイターを支えていく


水野:岡山さんは、現在NFTアートのオークションプロジェクト「_auction」を手がけられています。「クリエイターをビジネス面で支えていく」という感覚がもともとあったんでしょうか。

岡山:そうですね。僕はベンチャーキャピタルを経て複数の事業立ち上げを経験するなど、事業家として知見を蓄積しました。それを活かし、プロジェクトとしてかたちにすることが、僕ならではの貢献だなと思っていました。_auctionが立ち上がったのも、僕が事業側で旗を振り、クリエイターをはじめ、多くの人が集まってくれたことがきっかけです。

水野:_auctionのプロジェクトは、どのように進められていったのでしょうか。

岡山:NFTアートのマーケットを構造からみたとき、シンプルに「購買力のある人が見ている場所に作品を届ける」という方向性が良いんじゃないか?と考え始めたのがきっかけでした。

そこで、第一回は実験的に「IVSCrypto」という、経営者や起業家が集まるカンファレンスで開催しました。結果として2日間で、合計約43.5ETH(12月現在価値、約750万円)を記録しました。

価格はあくまでも指標に過ぎないですが、もともと持っていた仮説の大枠が証明されたと考えています。_auctionとして、NFTコレクターを国内外から集め、的確に作品をアプローチさせていくということは筋として悪くないなと。

事業を進めるうえで、クリエイターさんの意向は尊重しつつ「NFTアートを正しく欲しがる人に正しく訴求すれば、NFTの値段や作家さんのブランド価値も向上しやすくなるんじゃないか」と思いました。

日本は特に言語の壁があってマーケットサイズを広げられなかったり、プレーヤーが多すぎて、結果的に露出面が少なってしまっているのを感じていました。

水野:tama5さんは、_auctionのアドバイザーという立ち位置です。一緒に仕事をすることになったきっかけは何だったんですか。

tama5:私はいちクリエイターなので、事業の経験や知識はありません。でも_auctionはクリエイターの為になるだろうと感じたので、何か私の視点でお手伝いできる事がないかなと。

一人で動くことが多いクリエイターにとって、チャンスに繋がる新しい選択肢がある事はとてもありがたい事なんです。
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文=水野和寛 編集=露原直人

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