雪景色の中に立つと静寂に包まれた感覚になるが、それは単なる錯覚ではない。米ケンタッキー大学の研究によると、雪は周囲の音を最大60%低減するという。それにより得られる静けさには、心を落ち着かせて集中力を高める効果がある。
雪がもたらす静寂のおかげで、そよ風の音や小枝の折れる音、近くを流れる小川のせせらぎまで聴こえるようになる。英サセックス大学の研究によれば、こうした自然の音を聴くことで、脳の休息とリラクゼーションを司る部位が活性化されるという。
自然を近くに感じることは、ストレス低減と幸福感の向上に大きな効果がある。自然に囲まれていると、思考力が高まり、人々とのつながりが強化され、生産性が高まると同時に、新たなインスピレーションも湧いてくる。これは、科学誌サイエンス・アドバンシズに掲載された、62カ国301件の調査結果を分析した大規模な研究結果で示されたことだ。
自然には、心を鎮めるのみならず、活力を与える効果もある。米ロチェスター大学の研究では、自然の中で過ごした人は、活力やレジリエンス(回復力)、健康が向上したと感じていた。1日20分だけでも自然の中で過ごせば、気持ちが前向きになり、活力も湧いてくる。
また重要な点として、私生活の満足感が高まると仕事での満足度も向上する傾向にある。この波及効果の恩恵を得るために、エクササイズなど、仕事以外で自分が楽しめることを見つけよう。
雪の降らない地域に住んでいて、雪国に行くこともできない場合でも、雪の写真を楽しむことはできる。ソーシャルメディアに投稿された3万1000枚以上の画像を分析したシンガポール国立大学の研究によると、自然や自然環境に関する画像は、喜びの気持ちと結びついていた。どんな形でもよいので、自然や雪を楽しもう。
多忙のあまり圧倒されているような状況では、雪によって必要な落ち着きが得られることもある。自然は、混乱を静め、より充実した時を過ごす上で重要な役割を果たす。なので、あなたも外へ出よう。
(forbes.com 原文)