幸いなことに、私たちはすでにつながるようにできている。つながりの体験は、職場におけるコラボレーションのモチベーションを高めるだけでなく、脳の重要な原動力となる。私たちの脳は、社会的かつ協調的であるように進化してきた。他人が何を考え、感じているか、相手がどう反応しているか、相手を安全だと感じているか、相手は私たちを安全だと感じているかなどを常に評価し続けている。
社会的動物はともに繁栄し、強力で原始的な帰属意識を持つ必要がある。私たちは貢献することが好きだし、感謝されることも好きなのだ。他者から敬意や感謝を示されると、チョコレートを食べたり、セックスをしたときに活性化されるのと同じ脳の中枢部位が刺激される。
この仕組みは共同作業の内在的な報酬系に関する洞察を与え、リーダーのボディランゲージのシグナルがオープンでポジティブであることがなぜ重要なのかを強調する。しかも、こうした話はミラーニューロンの影響の洞察が加わる前の話だ。
1980年代後半に、イタリアのパルマ大学の研究者たちが、マカクザルの脳細胞が、ピーナッツを取るような特定の動作をしているときも、他のサルや人間が同じ動作をするのを見ているときも、同じように発火することを発見した。運動細胞の活動という点で、サルの脳では何かをすることとそれを見ることの区別がつけられなかった。科学者たちは、これらの脳細胞を「ミラーニューロン」と名づけた。
人間の場合、ミラーニューロンは行動に対してだけでなく、意図や感情をも反映して反応する。そのため、人付き合いや共感能力に重要な役割を担っている。ミラーニューロンが発見される以前は、人間は一般に分析的な思考プロセスによって他人の動機や行動を解釈し、予測していると考えられていた。しかし現在では、分析ではなく、感情によって理解し合っているという説が有力である。ボディランゲージの発するシグナルを読み取り、その背後にある感情を自動的に解釈することで、私たちは考えなくても周囲の世界を直感的に感じ取ることができるのだ。