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2022.12.19 17:30

G7とダボス会議、2つのメジャー会議から2023年を読み解く

ラーニングエッジ代表取締役 清水康一朗

ラーニングエッジ代表取締役 清水康一朗

新年を迎えるにあたり、2023年を占うといった情報が多いなか、人口統計のように、未来を読み解きやすいものもあれば、株価や為替のように予測がしづらいデータもあります。

そこで、2つのメジャーな会議と共に、ビジネスリーダーが知っておくべき2023年の大きな流れを、経営視点を交えながら読み解いていきたいと思います。

もう待ったなし! インフレに備えよう


2つのメジャーな会議のひとつ目。国際的な「世界政府」のトップ会議とも言える「G7(主要国首脳会議)」が、2023年、広島で開催される意味合いは大きいと考えます。2016年にオバマ元大統領の来日時に広島訪問が実現したことにより、日本が戦争で受けた傷跡から経済を立て直し、痛みを伴って成長した日本経済の底力を全世界に知らしめることに繋がりました。

現在のG7は、かつて1975年からG「8」でスタートしましたが、2014年からはロシアが外されてG「7」に。「決議」「決定」「宣言」は、国際法上の根拠を何ら持たないので非参加国に対する拘束力のない仲間うちの取り決めに過ぎないのも事実ですが、世界の関心がどこに向かっているかを読み解くうえでは、外せない会議です。

2021年のG7サミットでは、対中国を強く意識した共同宣言がなされました。日米欧によるサプライチェーンの連携や、各種データや個人情報流出を防ぐ重要技術保護法なども記憶に新しいかと思います。中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に対抗して、途上国のインフラ整備支援の構想が合意に至った流れが、2023年も継続する動きにもなることにも注目していきたいと思います。

全世界の人の心を痛めたロシアによるウクライナ侵攻ですが、2022年6月、ドイツのエルマウで開催されたG7サミットでは、ロシアのウクライナ侵攻に対して、国際社会秩序を守り抜くことが強調されました。

ウクライナ情勢、エネルギー配給、食料安全保障、気候変動など、問題は山積みですが、経営者にとって、ここで見過ごせないポイントは、コロナで停滞したグローバルな運送コストの上昇によって起こるインフレ問題。これは、どこか自分に関係ない話ではもはやありません。

身近な例でお話ししましょう。海外にいけなくなったことで、国内旅行先として人気が高まった沖縄。コロナ禍でレンタカー店が次々と倒産した後、車社会である沖縄において、移動手段としての車不足が起こっています。個人的にも、今年の夏にいった家族旅行先の宮古島で、レンタカーを確保するのも、タクシーを予約するのも非常に苦労したことを覚えています。

家族でディナーを楽しんだ後に、繁華街から車で20分程度のホテルのあるエリアに移動するのにタクシーが捕まらず、困りきっている家族をたくさん見かけました。子供たちはぐずっていて、ママは鬼の形相、道端でパパが泣きそうな顔でタクシー会社に電話をし続ける家族が道にあふれていたのです。ちなみに、この時は、1日10万円もする高級レンタカーですら、借りられないほどの状況でした。

旅なら一時的な現象で見過ごせますが、今後は、色々なビジネスシーンで日常的に起こっていくであろうことを認識すべきです。
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文=中村麻美

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