昨今の燃油サーチャージの高騰を思うと、それも仕方なしと言ったところか。そもそもZIP AIRは、前述のように航空運賃に燃油サーチャージがかからない。それでいて、時期にもよるが運賃は片道4万円~5万円といったところ。3万円台という時もある。ビジネスクラスにあたるフルフラットシートも時期にもよるが片道9万円台ということも。航空運賃だけ見れば、かなりお得感がある。
さて、このZIP AIR、利用するには少々コツがある。最大の特徴は、予約の変更やキャンセルができないということだ。都合が悪くなって搭乗できなくても、運賃の払い戻しはされない。
ここで意識を変革する必要がある。飛行機は席がすぐ埋まってしまうという固定観念がどうしてもあって、旅行が決まったら「すぐエアを押さえないと」となりがち。でもまだ海外旅行の本格復活が見えないいま、満席で予約できないという状況はあまり想像できない。
ZIP AIRは、実は搭乗の30分前まで航空券を購入できる。旅程が確定してから航空券を購入しても決して遅くないし、予約変更やキャンセルができない以上、そのほうが安心なのである。
まだ日本入国でPCR検査が義務だった頃、検査で陽性になったために予約していたZIP AIRに乗れず、運賃をドブに捨てることになったパターンをよく目にした。なので、私は当時、検査で陰性が出てから航空券を購入するようにしていた。それでもまったく不都合はないのである。
そして次は、サービスの特徴である「トッピング形式」をいかに活用するか。通常の航空会社なら付いてくる機内食やドリンク、ブランケットや枕、またスーツケースの預け入れなども全て有料で追加する形式。座席も事前に指定すると料金がかかる。
これらをセットにしたパッケージ料金もあり、パッケージだと20パーセント以上の割引が用意されている。料金を紹介すると、機内食は1400円~、預け入れ荷物は23キログラムまで1個5500円、32キログラムまで1個6500円、ブランケットやスリッパなどのアメニティセットが2500円といった具合。これらの料金はビジネスもエコノミーも変わらない。
座席にセットされるテレビはなく、その代わりに機内のWi-Fiが無料で付いていて、そのWi-Fiにつなぐと配信されている映画などを観ることができる。なので、タブレットやPC、イヤホンを持参する必要があるが、画面の大きさを気にしなければ、スマホでも観られる。
ZIP AIR利用の「勝ちパターン」
こう聞くと何だか面倒に聞こえるかもしれないが、日本から6時間くらいのホノルル便で機内食はいらないという人もいるし、いちいちキャビンアテンダントが来るのが面倒という人もいるから、そんな人にとっては実に合理的なシステムだと思う。
さらに良いことは、大抵の場合、空いていること。私の場合、これまで成田〜ホノルル間で5回ほど利用したが、1回を除き、エコノミークラスの横並び3席を1人で利用でき、身体を横にして寝ることができた。
ある時のZIP AIRホノルル便の機内。荷物が置いてあるのが筆者の座席で、このときすでに全員の搭乗は済んでいる
ただ、これから年末に向けて混雑が予想されるし、どれだけ機内が空いているかは、運と巡り合わせという要素も強いかもしれない。さらに夏頃まではOKだった「座席の移動」が最近は禁止されてしまったので、「近くに空いている座席があるから」と移動して横になるということもできない。