全米政策財団(NFAP)の分析によれば、米国の大学ではフルタイム大学院生のうち、電気工学で74%、コンピューター・情報科学で72%、数学や材料科学を含む分野では50〜70%が留学生であることがわかっている。
米国の10億ドル(約1366億円)規模のスタートアップの4分の1が、最初は留学生として米国に来た創業者を持ち、1社あたり平均860人の雇用を創出している。
このたび、留学生が労働力の供給源として貴重であることを示す新しい研究結果が発表された。経済学者のミシェル・ベイン(ルクセンブルク大学)、ジョバンニ・ペリ(カリフォルニア大学デービス校)、モーガン・ラウ(ルクセンブルク大学)は「2000年から2015年にかけて、留学生のうち50万人から100万人が毎年米国の大学で学士号または修士号を取得して卒業した」と、全米経済研究所から出された論文で結論づけている。「これらの学生が、卒業後に米国の労働市場に参入した場合、米国の教育システムにとって貴重な投資となる可能性がある。
「外国人修士課程卒業生の約23%が短期的には米国内に職を得ることがわかった。すなわち外国人修士課程卒業生が1人増えることは、国内の技能労働者の供給が約0.23人増加することを意味している。さらに、米国内で就職する外国人卒業生のほとんどは、最初の仕事を大学のある州内で見つけていることを示す証拠もある。
こうした推定値は、労働市場と移民政策に重要な意味を持っている。たとえば、2020年には、新型コロナウイルス感染症の影響で、F-1ビザの発行数で見た外国人入学者数(学士・修士)が40万人から10万人程度に減少している。私たちの試算では、この30万人の学生の減少により、2022年から2024年の間に米国で働く外国人学士・修士卒業生が3万から6万人減少することになると思われる。これは明らかに、米国の労働市場がすでに経験している不足を悪化させるだろう」(学士号を取得した留学生のうち、州内の仕事に就くのは約12%)。
論文の著者らは、1. 労働者増のメリットは科学、技術、工学、数学(STEM)分野の学生から得られること、2. 2008年にSTEM分野の卒業生を対象としたオプショナル・プラクティカル・トレーニング(OPT、フルタイムの学生として1年以上学校に通い続けた後にフルタイムで就労することができる制度)就労許可を12カ月から29カ月に延長したことが重要な改革であったことが証明されたと結論づけている。