フォーリーは、同じく元ペロトンのヒサオ・クシやヨニー・フェントらとともに、2500万ドル(約33億円)の資金をベンチャーキャピタルから調達し、家庭用ラグマットのD2Cブランド「アーネスタ(Ernesta)」を設立した。
2012年にペロトンを共同創業し、2019年に上場させた現在51歳のフォーリーが、ラグマットのビジネスを始めるのは奇妙に思えるかもしれない。しかし、彼は「ずっと昔からアーネスタのような企業を考えていた」と話す。
昨年2月にペロトンのCEOを辞任し、9月に執行会長を辞めた彼は、1週間ビーチで過ごした後に自身がまだハングリーであることに気づき、事業の立ち上げに乗り出したという。
アーネスタは、ハイエンドの家庭用インテリア市場を狙い、カスタムメイドのラグを1平方フィートあたり8ドルから40ドルの価格で販売する予定だ。競合のニューヨーク発の家具ブランドWest Elm(ウエストエルム)のベーシックなラグは、1平方フィートあたり8.73ドルで売られている。
フォーリーの新たなスタートアップは、人材だけでなく資金面でもペロトン時代からつながりを持つ投資家に支えられている。アーネスタの2500万ドルのシリーズAを主導したAdditionは、ペロトンの初期投資家だったLee Fixelが率いている。このラウンドに参加したTrue Venturesも、2015年にペロトンに出資していた。
「ラグというのは、一見面白味のないカテゴリに見えるかもしれないが、誰の家にも最低1枚はあるアイテムだ」とアーネスタの共同創業のクシは話す。フォーリーを古くから知る投資家たちが、有名企業を築き上げて上場させた実績を持つ彼の新たなビジネスに早期に出資することは、当然のことと言えるだろう。
家庭用ラグマット市場は250億ドルに成長する
フォーリーは、プロダクトのデザインとコミュニティの創出に注力することで、ペロトンの成功を再現したいと語るが、もうひとつの重要な側面では、別のやり方をしようとしている。アーネスタは、サプライチェーンの垂直統合を望んでいないという。
その代わり、同社はジョージア州の取引先と協力してラグマットの素材を大量に調達し、ニュージャージー州の倉庫で注文に応じて裁断して、物流パートナーや自社のルートで出荷する。店舗を持たず、米国内で調達を行うことで、アーネスタは2023年春の販売開始時点で50%の粗利率を達成できるとフォーリーは予測している。