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2022.12.17

スライスされたマンゴーはどこで採れた? ウォルマートなど食品トレーサビリティの今

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日本企業への影響


米国向けに対象品目を輸出する日本の食品関連事業者は、輸出先の米国事業者から情報の提供を求められるようになるため、対応が必要である。

デジタルデータでの記録は義務付けられていないものの、紙ベースの記録では、追跡に数日かかり、かつ米国事業者への共有も困難であるため、デジタル化が必須になるだろう。そもそも製造・流通の工程をどのようにデジタルで記録するのか、そしてどのようなしくみで共有するのか、現状を見直し、新しい仕組みを構築することが求められている。

Walmartは、2016年から食品のトレーサビリティに取り組んでおり、自社の食品トレーサビリティの仕組みをデジタル上に構築している。

例えば、スライスされたマンゴーがどこで採れたのかを追跡するのに、「紙」ベースでは6日と18時間26分かかったのに対し、ブロックチェーンをベースにしたトレーサビリティシステムを使うことで、2.2秒以内に出所を追跡することができるようになったという。さらに、食品をデジタルで管理することによって、選択的なリコールができるようになったり、また正確な賞味期限管理ができるようになることで、食品の廃棄物を減らすことができるとしている。

将来を見据えた食品トレーサビリティの実現


対象品目を輸出する日本の食品関連事業者は早急な対応が必要となるが、FTLは随時更新されていく。その他の事業者もどのように輸出までを追跡し、デジタルで記録・保管するのか、そしてそのデータをどのように米国の輸入事業者に連携できるか、検討し、準備を進めておくことが望ましい。

また、食品の製造・流通工程をトレースしていくことは、米国のみならず、カナダ、オーストラリア、EUなど各国で取り組みが進んでおり、世界の事業者と消費者の安心を担保できない場合、日本企業はグローバル化する食品のサプライチェーンから取り残されてしまう可能性がある。

これまで日本では「信頼関係」によって安全性を担保してきたが、昨今の産地偽装の例をみると、企業は事業者・消費者との新たな信頼関係の築き方を考え始めるべき時にきているのかもしれない。

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