日本初、東急電鉄が全線100%再生可能エネルギー運行へ
2019年、東急電鉄は、事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーに転換することを目指す国際的なイニシアチブ「RE100」に、日本の鉄道会社として初めて加盟。同年、東京都世田谷区東部を走る同社の路面電車は、再生可能エネルギー100%電力で運行が開始しました。
そして、今年四月から、同社の鉄道全路線(7路線)の運行と全駅で使用する電力を、太陽光、風力、地熱、水力による100%再生可能エネルギー由来に切り替えることを実現。この野心的な同社のアクションにより、5万6000世帯分の年間排出量に相当する二酸化炭素の削減が見込まれています。東急電鉄によると、運行する全路線の電力の全てを再生可能エネルギー由来とするのは、日本初の取り組みです。
JR東日本が叶える、水素で電車が走る日
日本最大の鉄道会社、JR東日本も先駆的な取り組みを進めています。2050年までに排出量実質ゼロを目指す同社の施策として注目を集めているのが、国内初となる水素ハイブリット電車「HYBARI」。
JR東日本が、トヨタ自動車と日立製作所と連携し、それぞれの鉄道技術と自動車技術を結集する形で開発されたこの車両は、水素をエネルギー源とする燃料電池の電力とバッテリーの電力を主電源とします。
最高時速は100キロメートル、1回の高圧水素の充填で最大140キロメートルの走行が可能だとされています。今年、走行試験が実施され、2030年に実用化が予定されています。
鉄道の脱炭素化
鉄道は、持続可能な社会の実現を可能にする輸送システムの基幹となる可能性を秘めた交通手段の一つとして、道路交通からの持続可能なモダールシフトに不可欠です。このモダールシフトのメリットを最大化するためには、鉄道の脱炭素化が要となり、鉄道各社の果たす役割は極めて大きいと言えるでしょう。
150年の歴史から培われた日本の高い鉄道技術と知見は、今後、世界の持続可能な鉄道システムの発展を牽引することができるはずです。そして、私たち一人ひとりが、毎日の生活の中で選択する移動手段の基準の中に、二酸化炭素排出量をモノサシのひとつとして入れること、この決断がその発展を後押しするでしょう。
(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)
連載:世界が直面する課題の解決方法
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