アマゾンが「反ユダヤ映画」の配信を続行、幅広い視点を優先

NBAのブルックリン・ネッツに所属するカイリー・アービング(Photo by Cole Burston/Getty Images)

アマゾンのアンディ・ジャシーCEOは11月30日、有名NBA選手の投稿で物議を醸した反ユダヤ主義的な映画やその原作本の取り扱いを停止するつもりはないと述べた。彼は、たとえ不愉快な内容のコンテンツであっても、同社の顧客を幅広い視点にアクセスさせることを優先すると主張した。

ジャシーは30日に開催されたニューヨーク・タイムズ(NYT)のディールブック・サミットで、2018年のドキュメンタリー映画「ヘブライからニグロへ:ブラックアメリカよ目を覚ませ(Hebrews to Negros: Wake Up Black America)」について語った。米国最大のユダヤ人団体の名誉毀損防止同盟(Anti-Defamation League、ADL)は、この作品が長年の「反ユダヤ的なトピック」を売り物にしていると非難し、アマゾンにストアから排除するよう求めている。

自身もユダヤ人であるジャシーは、アマゾンが「あからさまに不適切なコンテンツ」の場合は、それを扱わないと述べ、暴力を煽ったり小児性愛を奨励するような作品をその例として挙げた。

NBAのブルックリン・ネッツに所属するカイリー・アービングは、10月にこの映画のアマゾンのリンクを含む反ユダヤ的な投稿を行ったことで強い非難を浴び、出場停止処分を受けた。アービングの契約ブランドであるナイキも、彼との契約を即時停止し、予定されていたシューズの販売を中止した。

大手書店のBarnes & Nobleは、「ヘブライからニグロへ」の原作本の販売を中止したが、アマゾンは映画の配信と書籍の販売を続けている。

名誉毀損防止協会の調査によると、米国では昨年、ユダヤ人に対するヘイトクライムが前年比で34%の増加になったという。ここ数カ月でカニエ・ウェストも反ユダヤ的な発言で非難を浴び、アディダスやバレンシアガといったブランドが契約を打ち切り、ビリオネアの地位を失った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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