しかし、1時間乗っただけでは、このマシンの能力のほんの一面にしか触れていないように感じた。このクルマのポテンシャルを引き出すには、サーキットか速度制限のないアウトバーンが必要だね。
ポルシェに期待されるように、ステアリングは適度な重みと正確さを持ち、十分なフィードバックが得られる。通常速度では、低重心と微妙なエアサスペンションのおかげで、ボディのロールは存在しない。コーナーの途中で修正する必要もなく、狙ったラインへ正確にトレースできる。
タイカンの室内は、まるで2025年にタイムスリップしたような気分。ダッシュボードとトリムはまったく新しく、操作しやすいデジタルタッチスクリーンがここに君臨している。ステアリングホイールの後ろには曲面スクリーン、ダッシュの真ん中に10.9インチのスクリーン、センターコンソールの下にポートレートスタイルのディスプレイがあるので、ハイテクで近未来的だ。
しかし、なぜ助手席の前にもうひとつスクリーンがあるのか、僕には理解できなかった。ちょっと過剰かな。シートの座り心地もよく、まるで郵便受けの差し入れ口のようなリヤウインドーからの視認性もよい。
正直なところ、タイカンに乗るまで、僕はEVがあまり好きではなかった。確かにテスラはよくできているし、速いし、航続距離や充電状況は業界一と言える。
しかし、究極のパワー、素晴らしいハンドリング、優れたブレーキ(テスラにはもっと良いブレーキが必要)、そしてポルシェらしさを守ったことで、タイカンが僕を変えてくれた。あとは2500万円をどうやって見つけるかだけだ。
国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
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