タイカンは、ブランド専用の革新的な「J1」プラットフォームを使ってゼロから新たに作られ、なんと911よりも低い重心を誇っている。現在市販されているEVの中で最も車高が低いという特徴だけでも、自動車業界を注目させるに十分だ。その意義については、後ほど詳しくご紹介しよう。
新車種タイカンは、93.4kWhのリチウムイオン電池を搭載し、それぞれに電気モーターを装着する4WDだ。そして、パナメーラからヒントを受けた4輪操舵とサスペンション、そしてリアマウントの2速ギアボックスを採用しているので、発進時に最速の加速が得られる。
しかし、タイカンが画期的なのは、標準的なEVパワートレインの2倍に相当する800Vという電圧設定にある。電圧が高いほど電流は少なくなり、電流が少ないということは、バッテリーやモーターの発熱が少ないことを意味する。この組み合わせは、性能の劣化を最小限に抑えながら、素早い加速を可能にし、400km以上の航続距離を実現。しかもタイカンは、急速充電器を使って、わずか22分でバッテリーの80%まで充電することができる。
今回は、フル装備の2507万円のターボSに試乗した。ターボに搭載されるデュアルモーター全輪駆動システムは、通常走行で761psと1050Nmのトルクを発生する。そして、0ー100km/hまでの加速は、2.8秒(ポルシェ調べ)で、テスラ・モデルSと同等になる。また最高速度は260km/hで、これはニュルブルクリンクで電気自動車の4ドアセダンとして7分42秒という記録的なラップタイムを記録した際に達成されたものだ。
「ターボもエンジンもないのに、なぜターボバッジ?」と思うだろうね。ポルシェは1974年に911に初めてターボという名称を使い始め、長い年月をかけて、ターボはすべての車種で最速のモデルを意味するサブブランドとなったのだ。それで、タイカンにもターボとターボSがあるわけだ。