デザイン面は、その中に隠された技術に比べれば、ゲームチェンジャー的な要素はない。シルエットはシャープでロー&ワイド、パナメーラの派生車というより911をストレッチしたようなもの。だが、タイカンのハイライトのひとつが、あの巨大な10ピストン付きブレーキキャリパーと巨大なブレーキローターだ。
この巨大なストッパーのおかげで、この重量2380kgのセダンは、急停止することができる。他の多くのEVで起きる回生ペダルのスポンジーさが無いのがうれしい。
さて、ここで最低車高と低重心の話に戻ろう。ある大手自動車メーカーの元デザイン・トップの方が、匿名希望で次のように話してくれた。「ベンツやアウディ、BMW、ジャガー、日産、ルノーのEVにしろ、その大半は重心の高いSUV」であり、「タイカンと比較すると、テスラ・モデルSでさえも重心が高い」と指摘。そして、「これこそが、私が考える決定的な特徴です」と言うのだ。
「タイカンは、911よりも低い、まったく新しいプラットフォームを採用しています。これまで、誰もここまで低い位置にEVのプラットフォームを作ることはできなかった。バッテリー、インバーター、モーターをすべて低い位置に搭載することは画期的であり、すべての自動車メーカーが望むところでしょう。私は、すべてのメーカーがタイカンを購入して、どうすればこんなに低く作れるのか、実際に解体して解明していくと予測しています」と語った。
運転はどんな感じか? 一言でいえば、「最高」。
運転席に座ると、やはり911並みの車高の低さに驚かされる。タイカン・ターボSは、ユーザーがポルシェに求めるすべてのものを見せてくれる。そして、さらにその上も。スリル満点の加速、驚異的なブレーキ、そして本物のポルシェのコーナリング力。ステアリングホイールの後ろにあるギア選択トグルスイッチを「D」に入れると、優しくハミングする。
ドライブモードは、レンジ、ノーマル、スポーツ、スポーツ+がステアリングのダイヤルで選択できる。タイカンは、ユーザーが望むだけの瞬間的な加速で報いてくれるだろう。高速道路に突入して一気に加速したいときも、タイカンは余裕をもって、揺るぎない安定性と落ち着きで応えてくれる。
120km/hを超えて、スロットルをまだ半分だけしか踏み込んでないことに気がつく。静止状態からタイカンを加速させると、異次元の速さに巻き込まれ、クルマはさらにパワーを欲するようになる。フルスロットルでは、パワーの伝達は過激で、瞬時に、永遠まで加速する気がする