プライマリーケアに携わる医師が直面している問題は、ストレスだけではない。不安や悲しみ、怒り、絶望などの精神的苦痛も感じている。調査対象となったすべての国で、55歳未満の医師のうち少なくとも5人に2人が、こうした感情を経験したと述べている。米国では、この割合は61%に達した(これに対して、55歳以上では45%だった)。
米国では、55歳未満の医師のうち50%が、燃え尽きを感じていると回答した。比較的若い医師のあいだで燃え尽きを訴える者の割合がこれより高かったのは、カナダ(53%)とニュージーランド(57%)の2カ国だ。
精神的苦痛を味わった医師のあいだで、メンタルヘルスに関する医療サービスを受けた者の割合が非常に低いことも、憂慮すべき点だ。米国では、自身のメンタルヘルスの問題について、専門家の助けを求めた医師の割合は、55歳未満で16%、それ以上の年齢ではわずか6%だった。専門家に頼った医師の割合が最も低かったのはドイツ(どちらの年齢層でもそれぞれ6%)で、最も高かったのはニュージーランドだ(55歳未満で23%、それ以上で11%)。
年長の医師では、パンデミックの期間中にマイナスの感情を覚えたという人の割合が、より若い医師と比べて少なかった。しかし、今後1~3年のあいだに診療をやめる計画があるという人の割合は高かった。米国では、この割合は45%だ。カナダ、フランス、ニュージーランド、英国をはじめとする国では、55歳以上の医師のうち半数以上が、近い将来、診療をやめるつもりだと回答した。英国では、その割合は3分の2に達した。
コモンウェルス財団のデイヴィッド・ブルメンタール(David Blumenthal)理事長は、以下のように警告している。「こうした最新の調査結果からわかるのは、何らかの手を打たない限り、医師不足はすぐに記録的なレベルに達するということだ。政策立案者や医療制度の統括者は、今ならまだ、こうした深刻化する人材危機に対応するための手を打てるはずだ。プライマリーケアへの予算投入額を増やし、医師が心身の健康を損なわないような、健康に配慮した労働環境で診療にあたることができるようにすべきだ」
(forbes.com 原文)