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2022.11.30

1.7万人が登録のアプリ「カイスケ」 介護業界の人不足に挑む

takayuki / Shutterstock.com

人手が必要な介護現場と、仕事をしたい有資格の介護ワーカーをつなげるアプリ「カイスケ」が好調だ。介護人材不足を打破する切り札となるか、開発者に話を聞いた。

有資格者の多様な働き方をサポートする


超高齢社会においてはさまざまな課題があるが、なかでも介護業界の人材不足は深刻だ。第8期東京都高齢者保健福祉計画の推計によると、都内における介護職員数は、2025年度に約3万1000人不足する見込みだという。

限られた働き手を囲い込むように雇用するのではなく、ICTによって個人の働き方の幅を広げ、より多くの現場に人の手が届く社会を実現できないだろうか? 人材の「取り合い」ではなく「助け合い」のネットワークで人材不足をカバーするアイデアをかたちにしたのが、介護ワークシェアリングサービス「カイスケ」である。

カイスケの仕組みはシンプルだ。働き手はアプリを通じて介護資格の登録認証を行い、働きたい日や時間帯などの条件に合う仕事を選べる。数時間だけ1回働くといった応募が可能で、面接や履歴書は必要ない。

雇用のマッチングから勤怠状況までアプリで一元管理され、給与は運用元を通じて最短で当日に振り込まれる。空き時間にスキルを活かして収入アップにつなげたり、資格は持っているけれども子育てなどで仕事を中断している人が、復職のきっかけに利用したりするそうだ。介護業界で転職先を探す際、試しに一日働いてみて相性を確かめるといった使い方も考えられる。

人手不足で余剰スタッフを抱えられない介護事業所にとっては、急な欠勤や不測の事態で明日ヘルプが必要といった場合に備えて、有資格者限定の求人ネットワークを確保できるのは心強い。さらに単発の仕事で来てくれた介護ワーカーを正社員で雇用した例もある。

面接のみで判断するより、一日現場で働いてもらう方が人柄もスキルも把握しやすく、優秀な人材に巡り合う機会も増えるだろう。

介護ワーカーの方々に貢献できるビジネスを


カイテク代表取締役の武藤高史氏
カイテク代表取締役の武藤高史氏。医療情報サービス大手のエムスリーから独立し、2018年に起業。

カイスケを立ち上げ、運営するカイテク(東京都)の代表・武藤高史氏は、家族が寝たきりになったことがきっかけで、介護業界の課題と向き合ったと語る。
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提供元=TOKYO UPDATES 取材・文=岩崎香央理 写真=舛田豊明

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