最後に、グーグルクラウドは、価値に基づくケア(value based care:VBC)の実現に本質的に貢献しようとしている。ヘルスケア業界でVBCを支持する動きが活発化している背景には、政策決定者、ヘルスケア専門家、医療費負担者、医療提供者のいずれもが、従来のサービス対価(fee-for-service:FFS)モデルの限界を実感している事実がある。
米国政府機関であるメディケア&メディケイド・サービスセンター(CMS)はVBCについて、「ヘルスケア提供者に対して、患者に提供するケアの質に応じた金銭的インセンティブを与える」プログラムと定義している。VBCの究極的な目標は、「個人に対してより良いケアを提供し、集団をより健康にし、コストを下げる」ことだ。VBCの発想の根幹には、ヘルスケアの成果に関するパラダイムを、提供されるケアの「量」から「質」へと転換するということがある。
完全なVBCの実現に向けた課題は山積しているが、グーグルクラウドは、今回発表された新たなベンチャーによって、医療機関に「ケアの質と成果を評価するための適切なデータへのアクセス」を提供することで、「分析やインサイトを得るために必要なデータの相互運用性」が高まることを期待している。
グーグルクラウドは、最終的なビジョンとして、「VBCを目標とするHDEアクセラレーターの支援のもと、医療機関が、患者の訴えと臨床データを統合してトレンドを分析し、集団に固有の重要健康指標を特定する」ことを掲げている。
グーグルは今回の新たな取り組みにおいて、ハッケンサック・メリディアン・ヘルス(Hackensack Meridian Health)や、ライフポイント・ヘルス(Lifepoint Health)などといった著名な医療機関と提携したパイロット事業を展開している。
今後数年のうちに、この分野のテクノロジーから重要な教訓が得られるようになり、成長機会や、さらなるイノベーションが生まれるだろう。より良い患者のケアと成果を後押しする、前途有望な数多くのステップの最初の一歩となることは間違いない。
(forbes.com 原文)