「2023年は景気が悪い」の予想が増加 物価上昇が原因か

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内閣府が11月15日発表した2022年7月~9月の実質GDP(国内総生産)は、前期比0.3%減、年率換算で1.2%減と、四半期ぶりのマイナス成長となった。GDPを押し下げた主な要因としては輸入増加があげられ、GDPの半分以上を占める個人消費も、コロナウィルス第7波の影響を受けて前期比0.3%増と伸び悩んでいる。

そんな中、博報堂生活総合研究所は11月24日、全国の20歳~69歳の男女3900人を対象に、翌年の景況感についての予想などを聞く「2023年 生活気分」の調査結果を発表。2022年の景気について「悪かった」と答えた人の割合は66.1%で前回(69.3%)を下回ったものの、2020年以降はコロナ禍前(2019年以前)より大幅に高い水準で推移していることが分かった。

さらに、2023年の景気が今年と比べてどうなると思うか、予想を聞いたところ、「悪くなる」の答えが最も多く、44.9%。前回(20.2%)を24.7ポイントと大きく上回り、2015年の調査開始以降、最高となった。一方で、「良くなる」と答えた人の割合は、12.1%と前回(29.9%)から17.8ポイントのマイナスに。景気回復を予想する回答は過去2年連続で増加していたが、ストップがかかった。

景気悪化を見込む理由としては「物価上昇の継続・加速」(41.5%)が、景気回復の理由としては「コロナ禍の収束・沈静化」(28.7%)が、最も高い割合を占めた。

また、2023年にお金をかけたいことについての質問では、1位「旅行」(27.2%)、2位「貯金」(22.3%)、3位「外食」(19.5%)の結果に。うち1位「旅行」と2位「貯金」は「今年お金をかけたこと」の割合を上回り、中でも1位「旅行」は今年を11.2ポイント上回った。一方、4位「ふだんの食事」は18.9%で、今年(29.9%)を11ポイント下回った。

総務省が11月18日に発表した10月の消費者物価指数(総合)は、円安や資源高などの影響を受けて前年同月比3.6%となり、1982年2月以来、約40年ぶりの伸び率を記録。14カ月連続の上昇となり、物価高に歯止めがかからない状態だ。

今回の調査結果からは、そうした厳しい物価動向を受けて家計引き締めへの意識が高まる一方で、新型コロナに関する規制緩和などによって外向き消費への意欲が高まっていることが見て取れる。本調査の景気予想に反して、これからも日本経済の緩やかな回復基調が続いていくことを願うばかりだ。

文 = 大柏真佑実

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