金星が巨大な火山活動で地球の「悪魔の双子」に変貌した可能性

巨大火山「マアト山」が金星の表面を覆っているところのコンピュータ生成画像(Stocktrek Images VIA Getty Images)


約5億4000万年前の多細胞生命誕生以来、地球の生命は、地球全体の生命の50%以上を消滅させた大規模集団絶滅を少なくとも5回生き延びてきた。本研究とそれ以前の研究結果によると、これらの絶滅イベントの大部分が巨大海台を生成する種類の噴火によって起き、あるいは悪化した。地球の場合、これらのイベントによる気候崩壊は、金星で起きたような温室効果の暴走を起こすほどではなかった。その理由はウェイら研究者が現在も探究している。

NASAによる次の金星へのミッションは、2027年と2029年に打ち上げが予定されている「金星の放射率、電波科学、干渉合成開口レーダー、地形図、分光法(VERITAS)」ミッションおよび「希ガスと化学物質、画像に向けた金星大気深部の探査(DAVINCI)」ミッションで金星の起源、歴史、現在の状態を過去に類を見ない精度で研究することが目的だ。

「DAVINCIの主要な目的は、金星の水の歴史と消えた経緯を絞り込み、金星の気候が時間とともにどう変化したかに関する新たな見解を提供することです」とウェイはいう。

DAVINCIミッションに続くVERITASは、金星の表面と内部を高い位置から観察する衛星で、金星の火山と変化の歴史の理解を深め、金星が現在の状態へいたるまでの道筋を理解することを目的としている。両ミッションから得られるデータは、金星が多湿・温暖から乾燥・熱帯へと転換した可能性を科学者が正確に突き止めるために役立つはずだ。さらに、この地球で火山がどのように過去の生命に影響を与えてきたのか、また将来も続くのかをより深く理解するためにも役立つかもしれない。

論文『Large-scale Volcanism and the Heat Death of Terrestrial Worlds』は、The Planetary Science Journal (2022)に掲載された。資料はNASAのゴダード宇宙飛行センターのニック・オークスから提供された。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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