世界の乾杯酒を目指す「AWA SAKE」の可能性

エントランスに並べられたAWA SAKE認定酒

透明感あふれる色調、グラスの底から立ちのぼる繊細な泡立ち、メロンのようなフルーティーな香り、まろやかな甘味とフレッシュな酸。そして、発泡由来のシュワシュワとした音が耳に心地よく響き渡り、五感が心地よく刺激される……。

乾杯酒として受け取った美酒の余韻に浸りながら、目前に広がる都心の大パノラマを眺めていると、何ともいえない高揚感に包まれてくる。

ここは虎ノ門のホテル アンダーズ東京のルーフトップバー。開放感あふれる空間に誇らしげに並べられているのが、いまや30銘柄を超えている「awa酒認定酒」だ。10月13日、一般社団法人awa酒協会による第五回認定お披露目会が開催された。今回はそこでのペアリング体験や、筆者が思うAWA SAKEの魅力について紹介していきたい。

AWA SAKEとは


AWA SAKEとは、awa酒協会が定めた厳格な基準をクリアしたスパークリング日本酒のみに与えられる呼称のこと。awa酒協会は、スパークリング日本酒を醸す日本各地の蔵元で構成された一般社団法人で、その品質向上と普及促進、市場の拡大を目的として2016年11月に設立された。

設立当初は9蔵だった会員蔵も現在は28蔵にまで増え、業界からの注目度は高まるばかりだ。現在、二代目のAWA SAKE大使にソムリエの田崎真也氏が任命されており、さらなる認知度の拡大も期待されている。


awa酒協会代表理事である永井酒造の永井則吉氏、ゲストとして登壇した辰巳 琢郎氏、田崎真也氏らと共に乾杯

ここで触れておきたいのが、AWA SAKEを名乗るための「厳格な基準」についてだ。awa酒協会のホームページによると「厳選された米と米こうじ、水だけを使い、二次発酵による自然な発泡を有し、しかも透明な酒。高度な醸造技術によって厳格な品質基準をクリアしたもの」という記載がある。よって炭酸ガスを注入したものや、滓引きがなされず濁っているものは対象外となる。その他にも3等以上の国産米の使用、最低アルコール度数やガス圧の数値まで、細やかに定められている。

こうした規定を聞いて思い浮かべるのが、フランスが誇るスパークリングワイン、シャンパーニュだ。「シャンパーニュ」や「シャンパン」の呼称は、シャンパーニュ地方の定められたエリアで造られたスパークリングワインだけが名乗ることができるという認識は、今や多くの人が持っているだろう。

しかし、シャンパーニュはエリアの規定だけにとどまらず、原料ブドウやその収穫量、製法、熟成期間や最低アルコール度数など、多岐にわたる厳しい規定が定められている。そうすることで、安定した品質の維持とブランディングを成功させ、世界の泡の頂点に君臨し得たのだ。

さて、世界の乾杯酒を目指しているAWA SAKEは、協会が定める厳格な基準によってクオリティーと認知度を高め、今後ワールドワイドに発展していくことができるのか。
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文=瀬川あずさ

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