とはいえ、資産によって寄付額の意味合いは異なってくる。
そこで、今年もフロリダ州の調査団体「慈善調査研究所」と組み、資産家たちの寄付額を調べた。彼らの「太っ腹加減」を知るために、ここでは総資産に対する寄付額の割合を測っている。調査対象者は生存している富豪に絞り、彼らのいままでの寄付額と、現在の総資産を比較している(一部、生涯を通じての寄付額が不明の資産家は除外している)。
パーセンテージの数値が大きければ大きいほど、彼らが慈善事業に積極的であることがわかる。「彼らは生きているうちに、世界を変えたいと望んでいる」と慈善調査研究所の創業者R・J・シュックは指摘している。
マラリア撲滅を誓うビル・ゲイツ夫妻や、エボラ出血熱対策を急ぐポール・アレンは、競うように支援に力を入れている。「世界を変えたい」と、本気で考えている彼らからは目が離せない。
124%
ジョン・ハンツマン夫妻 / KAREN & JON HUNTSMAN SR.
寄付額:6,300万ドル
59%
テッド・ターナー / TED TURNER
寄付額:6,950万ドル
主な寄付先:国際連合財団
放送局CNNの創業者であるターナーは1997年、国連財団に10億ドルを寄付すると宣言した。それから17年、目標額まで残すところ4,000万ドルとなり、その約束を果たそうとしている。
54%
イーライ・ブロード夫妻 / ELI & EDYTHE BROAD
寄付額:2億7,700万ドル
主な寄付先:美術館など
美術品の寄贈でばかり注目されがちな住宅建設大手KBホームの共同創業者だが、ハーバード大とMITが共同で運営するブロード研究所には、創設10年で7億ドルも寄付している。
45%
ジョージ・ソロス / GEORGE SOROS
寄付額:7億3,400万ドル
37%
ジュリアン・ロバートソン / JULIAN ROBERTSON JR.
寄付額:1億9,500万ドル
37%
ビル & メリンダ・ゲイツ夫妻 / BILL & MELINDA GATES
寄付額:26億ドル
主な寄付先:医療機関など
マイクロソフトの共同創業者ビル・ゲイツと妻メリンダは、マラリアやポリオなどの疾病対策に力を入れている。昨年は、国際エイズワクチン推進構想(IAVI)に5,000万ドル寄付した。
37%
ゴードン・ムーア夫妻 / GORDON & BETTY MOORE
寄付額:3億2,100万ドル
主な寄付先:医療機関など
インテル共同創業者のゴードン・ムーアと妻のベティーは、カリフォルニア大学サンフランシスコ校医学部に2,500万ドルを寄付したほか、看護学や海洋生物学関連の研究も支援している。
31%
バーナード・マーカス夫妻 / BERNARD & BILLI MARCUS
寄付額:7,500万ドル
30%
ウォーレン・バフェット / WARREN BUFFETT
寄付額:26億ドル
主な寄付先:慈善団体など
世界的投資家のバフェットは、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団に20億ドル近くの資金を託している。残りは、自身の子供たちが運営する慈善団体への寄付が中心だ。
29%
アーウィン・ジェイコブス夫妻 / IRWIN & JOAN JACOBS
寄付額:7,340万ドル
17%
ジョン・アーノルド夫妻 / JOHN & LAURA ARNOLD
寄付額:1億4,300万ドル
主な寄付先:栄養科学イニシアチブ
エネルギー関連の投資で財を築いたヘッジファンドマネジャーのジョン・アーノルドは、政府系の公共団体に3,000万ドルを寄付しているほか、犯罪捜査や教育関連の団体も支援している。
13%
ジェフリー・スコール / JEFFREY SKOLL
寄付額:3,840万ドル
13%
ポール・アレン / PAUL ALLEN
寄付額:2億600万ドル
主な寄付先:国境なきゾウ保護活動
マイクロソフト共同創業者のポール・アレンは、西アフリカのゾウを密猟から守る活動に寄付しているほか、家族基金を通じて海洋生物の保護やエボラ出血熱対策にも力を入れている。
12%
ピエール・オミダイヤ夫妻 / PIERRE & PAMELA OMIDYAR
寄付額:2億9,300万ドル
11%
チャールズ・ジョンソン / CHARLES JOHNSON
寄付額:1,950万ドル
11%
スティーブン・ベクテル / STEPHEN BECHTEL JR.
寄付額:1億900万ドル
主な寄付先:国立公園の管理団体
建設会社ベクテルの所有者スティーブン・ベクテルは、カリフォルニア州のゴールデンゲート国立レクリエーション地域に2,500万ドル寄付したほか、教育プログラムも支援している。
9%
マイケル・ブルームバーグ / MICHAEL BLOOMBERG
寄付額:4億5,200万ドル
9%
ジョン・ストライカー / JON STRYKER
寄付額:2,800万ドル
主な寄付先:セーブ・ザ・チンプス
サルをこよなく愛していることで知られる、医療開発企業ストライカー・コーポレーションの相続人ジョン・ストライカーは、「セーブ・ザ・チンプス財団」へ240万ドルを寄付している。
6%
マイケル・デル夫妻 / MICHAEL & SUSAN DELL
寄付額:1億ドル
6%
デビッド・アインホーン夫妻 / DAVID &CHERYL EINHORN
寄付額:2,500万ドル
6%
ジョン・ソブラト一家 / JOHN A. SOBRATO & FAMILY
寄付額:2,520万ドル
6%
ジョージ・カイザー / GEORGE KAISER
寄付額:910万ドル
主な寄付先:オクラホマ州の教育施設
エネルギーや金融の複合企業を営む米屈指の富豪は、地元オクラホマ州の幼児支援プログラムへ多額の寄付をしているほか、生まれ故郷タルサの再開発計画にも資金を投じている。
5%
ロナルド・ペレルマン / RONALD PERELMAN
寄付額:1億9,600万ドル
5%
ケン・グリフィン / KEN GRIFFIN
寄付額:1億8,000万ドル
5%
ハンスヨルグ・ウィス / HANSJOERG WYSS
寄付額:948万ドル
4%
マーク・ザッカーバーグ / MARK ZUCKERBERG
寄付額:9億9,100万ドル
主な寄付先:シリコンバレー地域財団
フェイスブック共同創業者マーク・ザッカーバーグは、フェイスブック株をシリコンバレー地域財団へ寄付。寄付金は、カリフォルニア州の教育や医療の拡充に使われる予定だ。
4%
サムナー・レッドストーン / SUMNER REDSTONE
寄付額:9,050万ドル
主な寄付先:映画テレビ基金(MPTF)
放送局のCBSや総合メディア企業バイアコムを所有する「メディア王」は、エンターテインメント関連のNPOや教育機関のほか、カンボジアの恵まれない子供たちへ寄付している。
3%
ウォルトン一家 / WALTON FAMILY
寄付額:3億2,500万ドル
3%
デービッド・コック/ DAVID KOCH
寄付額:3,400万ドル
3%
スティーブ・コーエン夫妻 / STEVE & ALEXANDRA COHEN
寄付額:4,300万ドル
主な寄付先:教育関連の慈善団体
ヘッジファンド大手「SACキャピタル」のスティーブ・コーエンと、妻のアレクサンドラは、アメリカ軍の退役軍人向け就職支援サービスに1,500万ドルを寄付している。
2%
リチャード・キンダー / RICHARD KINDER
寄付額:3,350万ドル
主な寄付先:ヒューストン美術館
総合エネルギー企業「キンダー・モルガン」のCEOは昨年、ヒューストン美術館に100万ドルを寄付したほか、テキサス心臓研究所やライス大学へも研究資金を提供している。
2%
トマス・フリスト一家 / THOMAS FRIST JR. & FAMILY
寄付額:2,250万ドル
2%
レイ・ダリオ / RAY DALIO
寄付額:1億1,310万ドル
1%
ラリー・エリソン / LARRY ELLISON
寄付額:5,380万ドル
1%
レン・ブラバトニック / LEN BLAVATNIK
寄付額:5,940万ドル
図の「円」の大きさは、現在の総資産に対する生涯を通じての寄付額の割合を表している。生涯寄付額は、寄付先団体の受領額によって算出した(2013年12月31日現在)。
ただし、匿名の寄付や、未払いの寄付に関しては除外している。なお、生涯を通じての寄付額が現在の資産価値を超える場合、数値は100%を超えることになる。
SOURCE: PHILANTHROPIC RESEARCH INSTITUTE