経済・社会

2022.11.17 08:50

銃販売増える米ブラックフライデー、共和議員が迅速な身元確認要求

Getty Images

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全米で値引きセールが実施される感謝祭翌日の「ブラックフライデー」には、クリスマスプレゼント用に銃の販売も増える傾向にある。

それにともなって身元確認の依頼も急増するが、政府はその対応への準備が不十分だと、共和党のジョニ・アーンスト、チャック・グラスリー両上院議員(ともにアイオワ州選出)は先週公表した書簡のなかで批判した。

ふたりは「周知のとおり、FBI(連邦捜査局)はブラックフライデーの銃販売が年々増えているのを知りながら、この時期に人手不足になる。これは改めなければならない」と主張。FBIとアルコール・たばこ・銃器取締局(ATF)に十分な人員を用意させるべきだと訴えている。

連邦法では、許可された業者から銃を購入しようとする人には、犯罪歴がないか、あるいはその他の理由で銃の所有が禁止されていないか身元確認を行うことが義務づけられている。

銃を購入する人が政府発行の身分証明書を提出し、フォームに記入すると、FBIの「即時犯罪歴照会システム」を通じて電子的にあるいは電話で身元確認がなされる。FBIによると、2019年には10件中約9件の照会は即決だった。残りの約1割はさらなる審査に回されるが、3日たっても結果が出なければ購入を完了できる。

2015年、サウスカロライナ州チャールストンの教会で銃を乱射して9人を殺害したディラン・ルーフは、この抜け穴のおかげで銃を購入できていた。ルーフの身元確認では即座に問題無しという判断は出ず、FBIの捜査官に審査がゆだねられた。じつはルーフは直近の逮捕時に薬物所持を認めており、銃の購入には不適格だったのだが、捜査官は3日間にそのことを突き止められず、結果として銃の購入を許していた。

議会は今年、テキサス州ユバルディの小学校で起きた銃乱射事件を受けて、21歳未満の銃購入者の身元確認期限を、休日を除いて10日間に延長している。

ブラックフライデーは、銃購入やそれにともなう身元確認が1年でもっとも多い日のひとつになっている。昨年のブラックフライデーの身元確認依頼数は18万7585件と前年よりも増え、1日の件数としては年間で上位10位以内に入った。依頼数は2017年のブラックフライデーには過去最高の20万3087件を記録している。

銃器メーカーの業界団体である全米射撃協会(NSSF)によると、過去には、身元確認の依頼が集中して政府のシステムが圧迫され、待ち時間が通常よりも長くなるのを避けるために、銃の販売業者と協力してブラックフライデーに先立つ1週間に特別割引キャンペーンを実施したこともあるという。

おりから多くの銃器メーカーは積み上がった在庫を減らそうとしているため、今年のブラックフライデー(11月25日)の銃販売はとくに好調になりそうだ。銃器大手スターム・ルガーのクリス・キロイ最高経営責任者(CEO)は今月の四半期決算の発表会で「キャッシュバックや割引といった販促活動がいちだんと活発になっている」と語っている。

アーンストとグラスリーは政府当局に対して、ブラックフライデーの身元確認がさらに遅れないようどのような人員確保計画を立てているのか、11月18日までに詳細を明らかにするよう求めている。

forbes.com 原文

編集=江戸伸禎

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