ビジネス

2022.11.12

「翻訳者の未来」「AI時代に高需要の職業」。機械翻訳DeepL CEOはこう答えた

DeepL CEO ヤロスワフ・クテロフスキー氏(撮影=曽川拓哉)


数学、そして「シンギュラリティ」──


──これからのAIの時代、「シンギュラリティ」についても取り沙汰されています。今の子どもたちは何を学ぶべきでしょうか?

自分自身が数学者なのでセルフバイアスもあると思いますが、自分の子どもたちには分析能力が重要だといつも言っています。

一般的には、今の教育のあり方は子どもたちに正しいことを教えていると思います。ですが、学校で学ぶ中でとくに重要なのはやはり数学、そして文章を理解し、書く技術だと思います。これは恒久的なことだと思いますね。

──数学者の需要はますます大きくなりますか? AIの時代にもなくならない職業と言っていいでしょうか?

はい、未来の市場で、AI構築に非常に重要な役割を果たす数学者、そして計算機科学者の需要はこれからますます大きくなるでしょうね。

そして、AIがどれほど「魔法のよう」であるかを知り、AIを人間のためにうまく活用するために、従来にはなかったある種の技術は必要です。

われわれに必要な結果をもたらすべくAIを導く必要がありますし、その結果をよりよいものにするように、常に促さなければなりません。このスキルを身につければ労働市場で非常に有利な立場を得ることができるはずです。



ただ、職業のことを離れても、われわれはみなAIの役割を受け入れ、このすばらしいツールを日常生活に取り入れる方法を学ぶべきです。もうずいぶん昔にコンピューターの使い方を覚えたように、あるいはインターネットを学んだように、AIがどんなふうにわれわれの暮らしを豊かにするかを知る必要があるのです。

──より「芸術的」な問題が介在してくる小説、文学などの翻訳についてはどう考えられますか?

翻訳そのものが芸術です。異文化に立脚した言語の場合、文化翻訳の必要もあります。その言語が使われている国の人々をよりよく理解しなければならない。

そして、たとえば文学にはさまざまな翻訳が存在しますし、どの翻訳が優れているかという議論もあります。「正解」が存在しない領域で、私たちが注意を向けるカテゴリーではありませんが、これはまだ人間に残されている分野だと思えます。そして、こういった「芸術」の部分がまだ人間に残されているのであれば、私は幸せですね。


インタビュアー:
岡本純子◎グローコム代表取締役社長。米MIT比較メディア学元客員研究員。読売新聞社経済部記者時代、孫正義ソフトバンク社長など、世界の経済人、政治家を多数取材する。1000人を超える社長、企業幹部の「家庭教師」を務め、コミュニケーション術を伝授。著書『世界最高の話し方』(2020年10月、東洋経済新報社刊)は累計15万部のベストセラーに。

(翻訳には一部、DeepL無料版を使用した)


関連記事>>
ドイツの機械翻訳「DeepL」は文学も訳せるか? 芥川龍之介作品で試した
ドイツの機械翻訳「DeepL」がすごい。ついに日本語対応も
2022年、どこまで進む翻訳技術。グーグル翻訳超え「DeepL」の進化

インタビュー=岡本純子 翻訳・文=石井節子 写真=曽川拓哉

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事