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2022.11.10

オヤジギャグやダジャレに溢れたマスクのツイッター投稿は今後も変わらない

(Getty Images)

いまやTwitter(ツイッター)で最も投稿数が多く、最も影響力があり、最も嘲笑の対象ともなっているユーザーの1人であるイーロン・マスクが、Twitterを所有しているという事実はとても皮肉な状況だ。

マスクの錬金術のようなツイートは、ミームコインを資産に変え、株式市場に激震をもたらすが、彼のユーモアのセンスは、オヤジギャグ言いっ放しのジョーク、古くさいReddit(レディット)のミームから成り立っている。

Twitter上のウィットに富んだ投稿者の中には、皮肉や超現実主義に浸ったり、神経を伝わってくる生煮え状態の考えを吐き出したりする者もいるが、マスクの場合はダジャレの大ファンだ。しかも陳腐であればあるほど良いようだ。彼のツイートは、絶版になったジョーク本のカビ臭いページのようであり、彼のリプライには、必然的に、よりおもしろいユーザーからの舌鋒鋭い反応や、泣き笑いの絵文字で画面を黄色に染める、おべっか使いの群れが集まってくるのだ。

その風変わりで時代遅れなユーモアは、マスクがTwitter本社に初めてシンクを抱えて足を踏み入れた瞬間から発揮された。おかげで彼は「let that sink in(シンクを持ち込もう、let that thinkin’「さあ考えよう」)」とつぶやけるようになったのだ。彼はその決めパンチラインの後に、新しい部下の半分を解雇した(おもしろいことに、Twitterはそうした従業員の多くを再雇用しつつあるといわれている)。

これまでのところ、マスクのリーダーシップは、彼の投稿と同じくらいぎこちなく、ユーモアに欠けていることが証明された。「Twitterでは冗談が合法になった(際どくても冗談なら許される)」と宣言したにもかかわらず、マスクはすぐに自分が冗談の的であることに気がついた。

マスクによる買収、そして冗談の公式な「合法化」に反応して、Twitter上には人種差別の嵐が吹き荒れた。コメディアンのトレバー・ノアは、認証チェックマークに月額8ドル(約1170円)を課すマスクの計画に対して、マスクは白人ユーザーが投稿するNワード(黒人差別用語)を有料化すべきかもしれないと発言している。

マスクは数日間というもの、自身の計画する有料制に批判的な著名な認証済ユーザーへの対応、作家のスティーブン・キングとの中古車販売員のような価格交渉、アレキサンドリア・オカシオ・コルテス下院議員への皮肉を込めた対応に明け暮れた。マスクをどう評価するかは別として、それはプロフェッショナルな経営手腕とは言い難いし、サイトのユーザーたちにも信頼を与えるものではなかった。
--{マスクのツイートがうんざりするものであることはずっと変わらない}--
マスクがTwitterを台無しにするのではないかと恐れたサイトの認証済みユーザーの多くが、マスクのアカウントになりすましてさまざまなばかげた攻撃的な投稿を行い、マスクを荒らしの対象にした。

なりすましが続出したことを受けて、マスクは永久アカウント停止に対する姿勢(以前はボットや詐欺師のみに適用すべきと発言していた)を突然翻し、パロディであることを明示せずに他人になりすましたアカウントは永久的に停止されると発表した。

440億ドル(約6兆4000億円)で買収したばかりのプラットフォームのユーザーベースから容赦なく嘲笑され、それにリアルタイムで反応するマスクの姿は、間違いなく彼がこれまでにやったことの中で最もおもしろいものだろう。まるで、大胆で制御不能なネイサン・フィールダーの寸劇のようだ(ちなみに、マスクがフィールダーをパーティーに招待し、この無表情無口なコメディアンを笑わせようとしたことがあると伝えられているのをご存知だろうか)。

マスクは、永久追放される前のドナルド・トランプ前大統領が行ったような、サイケデリックでとりとめのない方法で、Twitter上に彼の足跡を残したいようだ。しかしマスクは、些細ないざこざを純粋なポエムに昇華させることができるトランプの才能は持ち合わせていない。そもそもそのような破壊的的才能は買うことはできない。

デジタル調査会社Memetica(ミームティカ)の分析によると、プラットフォームを引き継ぎ、批判の集中砲火を経験して以来、マスクは「投稿しまくり」で、現在、今月は750回以上、1日に25回ツイートするペースだという。

さらにマスクは、ライバルであるソーシャルメディアプラットフォームのMastodon(マストドン)にも狙いを定めている。このプラットフォームはTwitterに比べれば弱小だが、Twitterユーザーがマスクのハチャメチャなリーダーシップから逃げ出していることで、人気が急上昇している。Mastodonをからかうようにマスクは軽いマスターベーションジョークを投稿したが、最終的には削除した。

Twitterの将来がどうなるのかは非常に不透明だ。ペイウォール、押し付けがましい広告、暗号資産の話題であふれた欠陥サイトになるとの、最もシニカルな予測が実際に実現するかもしれない。あるいは、マスクが慌ててギアを入れ直し、反発に応えてより賢明な方向へと加速していくことで、事態は落ち着きを取り戻すかもしれない。

だがTwitterがどうなろうと、マスクの投稿が「うんざりする」ものであり続けることは確かだろう。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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