マスクは依然として世界一の富豪だが、テスラの株価がピークに達した2021年11月4日時点と比べると、1200億ドル以上も資産を減らしている。さらに、ツイッターに対する440億ドルの敵対的買収提案を公表した前日の2022年4月13日との比較では、740億ドル以上も減少している。
マスクはツイッターの買収提案を発表する前に、株価がすでに安くなっていたツイッター株9%を取得しており、買収資金のすべてを自らが負担するのではなく、その一部をツイッターに130億ドルの負債を負わせることで調達した。この動きは、彼の資産の減少を食い止めるのに役立った。
しかし、投資家はマスクがテスラの経営に対する集中力を失うことや、買収に向けて合計約150億ドル相当のテスラ株を売却したことを懸念材料とした。その結果、10月27日にツイッターの買収が発表された時点で、テスラの株価は約6カ月で34%下落し、同時期のナスダックの下落率を13ポイント近く上回った。
CFRA リサーチのアナリストのギャレット・ネルソンは、「予想では、買収の発表後に安堵のラリーが起こると思われていた。しかし、その後も騒動は続き、テスラ株に対する投資家のセンチメントを圧迫している。ツイッターがテスラに悪影響を与えるとの懸念が高まっている」と述べている。
2週間足らずの間に、マスクは彼にとっての3社目のCEO職を引き受け、ツイッターの社員の約半数を解雇し、月額8ドルのアカウント認証費用を提案してユーザーを怒らせ、広告主によるボイコットにも直面した。投資家がこの状況を懸念したため、テスラの株価は10月27日以降で約15%下落しており、下落率はナスダックの7倍以上となっている。
混乱はまだまだ続く
マスクに言わせれば、ここ数日、テスラの株価を圧迫している要因はほかにもある。ミラー・タバクのストラテジストのマット・マレイは7日、「世論調査は共和党に有利で、投資家はクリーンエネルギー企業への影響を懸念している」と述べた。
一方、 ウェドブッシュ証券のダン・アイブスも7日に「アップルの中国での懸念が広がり、テスラの株価にもマイナスの影響を与えている」と指摘した。さらに、8日には、テスラがステアリングの問題で4万台をリコールしたと報じられた。
しかし、マレイとアイブスの見方はおおむね一致している。「ツイッターのディールによる二日酔いが続いている」とマレイは指摘した。一方、アイブスは、「マスクのツイッターの見世物はまだまだ続くだろう」と述べている。
(forbes.com 原文)