精神的疲労のメカニズムとその予防・回復法、やはり「休息と睡眠」がカギ

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最近、調子はどうだろうか?

私がエグゼクティブのコーチングをしているクライアントに尋ねると、多くの場合「圧倒されている」と答える。そして、この感情を紐解いていくと、精神的な疲れが原因であることがわかる。

ストレスの多い世の中だ。そして多くのリーダーは商品企画の見直し、新しい戦略の立案、市場や顧客の状況の変化への対応など、常に膨大な量の集中力と思考力を要求されている。このような複雑な作業が数時間続くと、精神的に疲れてしまう。

私たちは、肉体的な疲労を回復する方法を知っている。しかし、精神的な疲労はどのように回復するのか。

精神的な疲労が起きるメカニズム


まず、精神的な疲労は脳に一体どのような影響を与えているのか。パリ大学の新しい研究により、その答えが明らかになった。激しい思考が続くと、脳内に機能的な変化が起こる。前頭前皮質に有害な副産物、つまりグルタミン酸が蓄積されるのだ。この毒素は、意思決定能力を抑制してしまい、長時間激しい思考をした後は、意思決定をするのが一番嫌になるわけだ。こんな日は、Netflix(ネットフリックス)で映画でも見てボーっとしたいものだ。この感覚、わかるだろうか。

予防する方法


精神的な疲労を防ぐには、5つの簡単な方法がある。

1. 複雑な作業をするのに最適な時間を特定する。あなたは午前中と午後のどちらに最も回復力があるだろうか。最も精神的負担の大きい作業をするためのピークタイムを選ぼう

2. 複雑な認知タスクに制限を設ける。健全な制限が燃え尽きを防ぐ。タスクにかかる時間を多めに見積もり、休憩時間、頭をすっきりさせるために外に出る、散歩する、同僚と軽く楽しい会話をするなど、脳を休ませるための時間を作ろう

3. テック休憩を取る。脳を保護するためにコンピュータ、電話、テック全般から離れよう。リフレッシュして戻ってくることができる

4. 何に集中するか選ぶ。マルチタスクの神話を打ち破ろう。マルチタスクは脳を疲弊させ、効率と生産性を低下させる

5. 瞑想で前頭前皮質と海馬の細胞密度を上げる。瞑想することの利点はよく知られている。5分の瞑想休憩でも、リラックスして穏やかでクリアな気分になれる

精神的な疲労から脳が回復するのを助ける


さて、次は回復の方法だ。答えは意外と簡単で、休息と睡眠がカギとなる。脳のシナプスは、睡眠中にグルタミン酸を徐々に排除していく。ハードな1日の終わりに休息し、リラックスすることで、グルタミン酸の蓄積を一時停止させ、ベッドに潜ったときに排除しなければならない量を減らすことができる。

体が疲労感や筋肉疲労によって長時間の運動を止めるタイミングを知らせるように、脳も精神的な疲労に達すると同じことをする。それは単純に脳の疲労だ。グルタミン酸の蓄積は、脳の活動を鈍らせ、精神的疲労を引き起こす。毎日精神的な疲労に達し続けていると、そのうち燃え尽き症候群のボタンを押すことになる。

この研究で見つかった一般的な副作用は、精神的な疲労に達すると即座に満足感を求めることだった。精神的な限界に達したときに、砂糖やカフェインなどの物質に手を伸ばしてしまうのは、このためだ。安心感を得たい、今すぐ欲しいということだ。このことを意識して、運動など健康的な代替手段を用意しておこう。

精神的に疲れを感じているなら、上記の方法を試してみよう。

forbes.com 原文

翻訳=上西 雄太

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