RPAの総保有コストにROIはあるか
カーデンは、RPAは負の遺産に対する追加経費であるため、任意のITシステムにおける総保有コスト(TCO)を増加させるものであり、投資利益率(ROI)が十分にある場合は問題ないと話す。
「(ライセンスやメンテナンスのサポートのために)負の遺産が高止まりしていることが問題で、これはRPAのROIを損う。デジタル革命で新しい計算能力と技術が主流になるにつれ、古い技術(ひいてはRPA)は置き換えられつつあり、それは加速している」とカーデンは話した。
これらの議論は、RPAボットの引退をどのように行うべきか、そしてRPAボット自体の将来はどうなるのかという2つの問いにつながる。
「組織はRPAのROIを調べる際にボットの『引退』を計画し、その生涯価値を密かに計算する必要がある。IT部門と連携することで、RPAの利用を検討しているアプリやプロセスの寿命を迅速に判断し、ボットの引退計画を正当化あるいは計画することができる」とカーデンは説明する。「RPAボットが開発段階に入る前に、終末戦略を策定することにこだわる組織もある。このため、デジタル変革を統括するセンター・オブ・エクセレンス(組織を縦断する核となる部署)がRPAのセンター・オブ・エクセレンスを外部に任せずにコントロールする必要がある」という。
RPAの終焉はあり得ない
上記の分析は、RPAが消え去ろうとしている、あるいはより広範な否定的なシナリオの一部であることを示唆するものではない。実際、RPAはまだ始まったばかりだ。
カーデンらがいいたいのは、ソフトウェアの自動化やボットは自然な進化段階の一部であり、多くのRPAモデルはより大きく戦略的で、かつ長期的な何かの一部になりつつあるということだ。
この「より大きな」ものとは、カーデンらが「Intelligent Automation(IA)」という広い概念として説明するものだ。
「『自動化』が必要な問題に目を向けると、その問題を解決するための幅広いテクノロジーに目を向けることになる。それは最終的にIA単体であったり、IAとRPAを組み合わせたものであったり、IAへの道を開いたRPAのみだったりする」とカーデンは結論付けている。
企業にとって重要なのは、RPA戦略に賭けることで、将来的に大きな利益を得ることができるのか、それとも袋小路のレンガの壁にぶつかることになりそうなのかを検証することだ。
ボットに感謝しよう。とても定年を迎えたようには見えない。
(forbes.com 原文)