テクノロジー

2022.11.03 09:30

1時間のビデオ会議で約1キロのCO2発生、オンライン習慣が地球に与える影響

Getty Images


人工知能(AI)モデルのトレーニングにも同様に環境コストがかかり、トレーニングに要するエネルギーは地球を315周飛行するよりも多いと研究者は見積もっている。書籍の著者は同僚の協力を得て、自分の選択が環境に与える影響について人々がどのような意識を持っているかを調査し、私たちのデジタル習慣が地球に影響を与えるさまざまな方法を明らかにしようとしている。
advertisement

「取り入れるべきものがたくさんある。これらの数字の多くは、一部のデジタル企業や多くの個人が取り組んでいる再生可能エネルギーの利用などによって変わってくる」と著者らは説明する。「これはこの問題の複雑さを浮き彫りにし、デジタルサステナビリティの理解と取り組みは個人の責任を超えて、政府や企業が担うべきものであることを示している」とも指摘する。

より高い透明性


研究者らは、デジタル技術やデジタル企業がエネルギーやその他の環境に与える影響について、特に持続可能性の目標の達成に向けて透明性を向上させるために、さらなる取り組みが必要だと考えている。

「ほとんどのデバイスメーカーは循環型経済ではなく『計画的陳腐化』のパラダイムを採用している。例えば、テック大手は長持ちするように設計されていないスマートフォンを生産し続けている」と説明する。
advertisement

大半の人が自分が使っているテクノロジーの持続可能性に関心を持っていることがわかったが、この関心は必ずしも日常の習慣や行動の変化には結びついていなかった。

「人々はデジタル技術の持続可能性に懸念を示したものの、この問題に対して実際に何かをする機会は限られていた」と著者らは指摘する。

以前、筆者はリモートワークの環境適合性について疑問を呈したことがある。さまざまな研究により、移動の減少がデジタル消費の増加を補うのに十分であるかどうかが評価された。デジタル技術は何の影響も及ぼさないと思いがちだが、現実は大きく異なることが多い。今回のような研究が増え、そうした事実を私たちに警告してくれることを願っている。

「何が『十分』なのかを決めることから、デジタルライフサイクル全体や規制のあり方を変えることまで、デジタルライフのあり方には多くの選択肢がある」と研究者は結論付けている。さらに「個人がこれらの問題を解決することは期待できない。私たちのデジタルの未来を改善し、持続可能なものにするために政府は規制し、企業は行動する必要がある」としている。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事