1時間のビデオ会議で約1キロのCO2発生、オンライン習慣が地球に与える影響

Getty Images

新型コロナウイルス感染症の大流行で、少しでも正常な状態を保とうと私たちの生活はかつてなくオンラインに移行した。豪マッコーリー大学社会科学部が最近出版した書籍では、このようなデジタル習慣が地球にどのような影響を与えているのかを検証している。

「電子メールを送ったり、写真を保存したりといった単純なことをするのに必要なさまざまなインフラについて私たちはあまり考えない。このようなデジタルのものは目に触れることもなく、意識されることもないデータセンターに保管されている」と書籍の著者は説明する。「少し考えるにしても、私たちは通常これらのサービスが継続的に行われることを期待し、それらのデジタルの慣行には本当は限界がないと考えている」と続ける。

環境への影響


多くのデジタルサービスは非常にアクセスしやすく、ユーザーを追加するための変動コストが最小であるため環境への影響も小さいと思いがちだ。しかし、実際はそうではない。デジタル活動ではかなりの量の温室効果ガスが出るだけでなく、採掘などによる激しい土地の使用やデジタルサービスを支えるグローバルなインフラの一部である水の大量使用もともなう。

研究者たちは、単にデータセンターや個人所有のデバイスで使用されるエネルギーを見るだけでなく、さまざまなデジタルサービス全体に目を向けようと試みた。このアプローチによって一般的なデジタル活動で使用される環境資源の規模が明らかになった。

例えば、1時間のビデオ会議では約1キロの二酸化炭素が発生し、約12リットルの水も必要だった。この水使用量の多くはビデオ通話によるもので、カメラをオフにすればその約98%を節約できると思われる。

ビデオ会議に高い環境コストがかかるように、私たちのビデオストリーミングの習慣もまた非常に環境コストがかかるものだ。実際、1時間のHDストリーミングは年間160キロの二酸化炭素を発生させる。標準画質に切り替えると年間わずか8キロになる。

電子メールはそれほどコストはかからないが、それでも約0.3グラムの二酸化炭素を発生させる。この環境コストはモバイルデバイス間で通信する場合に高くなり、ラップトップ間での場合はそれほどではない。

近年、クラウドベースのストレージが急増しているが、金銭的なコストは比較的低いものの、環境コストは高いことが明らかになっている。調査では、平均的なデータセンターは1GBのストレージを提供するごとに毎年約0.2トンの二酸化炭素を排出していることがわかった。

産業利用


当然のことながら、コンピューティングのヘビーユーザーは二酸化炭素の大量排出者でもある。例えば、標準的なスーパーコンピュータを使用すると、なんと年間15トンの二酸化炭素を発生させると推定されている。これを大局的にみると、オーストラリアの伝統的な天文台やオフィスビル、天文学者が毎年利用する国際線のフライトにかかる量を上回る。オランダのように再生可能エネルギーに切り替えることで排出量を約96%削減することができる。
次ページ > より高い透明性

翻訳=溝口慈子

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事