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2022.11.02

​​650社のDX推進を支援する「STANDARD」 成長を支える独自の人材育成

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それは、創業者で現会長の石井が2016年に東京大学の先輩たちとともに立ち上げたサークル「東大人工知能開発学生団体 HAIT Lab(ハイトラボ)」にある。

当時、まだAIというワードが世間には浸透していなかったが、「必ずその時代が来るのに、スキルを持った人間が圧倒的に不足している」という課題感を抱いた石井たちが、このサークルで独自に教材を作成して講座を設けていたのだ。

すると、想定していなかった出来事が起きた。

ソフトバンクのインターンシップに参加したサークルの出身者が高い技術を発揮。HAITでそのスキルを培ったことを知ったソフトバンクの社内で、サークルの教材が商業利用されることになったのだ。このことをきっかけに、石井はSTANDARDを創業する。

一方、「HAIT Lab」は、AIエンジニア600人の集まるプラットフォームとなる。現在も毎年約200名がラボに入り、能力の高いメンバーをSTANDARDがインターンとして招き入れている。この人材育成のシステムが、同社の強みとなっているのだ。

SaaS創出を加速


STANDARDは、これまでDX推進に関わってきた650社のデータをもとに、SaaS(Software as a Service)の創出にも踏み出した。すでに4社を設立している。

 「『教育サービス』を入り口に、顧客の現場に入り込むことで、課題をキャッチしてきました。自社でやるには負担が重い、ブランドとの相性が良くない、また業界横断で別のプレーヤーがやったほうが良いという声が多々あったので、われわれがつくり出そうと考えたのです」

こう語る櫛野社長だが、今後はプロダクト開発にも注力をするということで、この11月2日には「スパークス・アセット・マネジメント」が運営する「未来創生3号ファンド」から5億円の資金調達を行ったと発表した。創業から6期目にして初めてのエクイティ(返済義務のない資金)調達となった。

つねに現場の課題からプロダクトを創出してきたSTANDARD。今後も強みのAIやDXに秀でた人材を武器に、さらに顧客目線の価値あるサービスが生まれていきそうだ。

文=露原直人 編集=稲垣伸寿

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