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2022.11.01

「他人と比較しても仕方がない」 出産を経て見つけた天職丨鈴木絵里子

鈴木絵里子


「他人と比較しても仕方がない」


──そうした大きな決断をする際に大事にしているマインドはありますか。

「他人と比較しても仕方がない」ということです。特に、日本では「平均的な生き方」や「画一的な生き方」を選択する人が多い傾向にありますが、他人と比較し続けるのは辛いことです。

最近はSNSでも、フォロワーやいいね!の数を比較することに迷いや不安を感じる方も多いと思います。だからこそ、若者には「比較しても仕方がないよ」と伝えたいですね。私もたくさん失敗をして、それでもこうして生きているからこそ、言えることでもあります。

他人の評価軸に乗って「良いと思われるもの」を追い求めた時期もありました。ですが、結局は自分がどうしたいか、何に価値を見出すのかは、自分で定義したほうがいいと思っています。



──現在はKind Capitalの代表取締役、投資家兼ESGコンサルタントとして活躍されています。次世代の若者とともに解決していきたい業界の課題はありますか。

私が注視しているのはダイバーシティ領域です。なかでもよく話題になるのが「男女比」の問題ですが、日本は欧米と比較してものすごく劣っているかというと、実はそうでもない。アメリカも男性主体の傾向が強く、数年前にようやく男女比の格差是正にフォーカスが当たりはじめて、女性のキャピタリストが増えてきました。

ただ、欧米のスタートアップやVC投資の規模は加速度的に拡大しているので、女性の絶対数は増えても比率的にはあまり変化がないという状態です。その点、日本はスタートアップの数・VC投資の規模がともに劣っていると考えると、相当な遅れをとっていると言えます。

とはいえ、日本も含めて世界が前向きに動いているのは確かです。ESG投資の重視をはじめ、投資対象の一定数を女性起業家にすることを打ち出しているVCもあります。キャピタリストの採用も多様性を意識して行われるなど、業界全体が変化を起こすための取り組みを進めています。

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文=尾田健太郎 取材・編集=田中友梨 撮影=山田大輔

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