「30 UNDER 30 JAPAN 2022」でもアドバイザリーボードを務めた鈴木に、「未来をつくる若者」の特徴や、彼らへのアドバイスを聞いた。
──鈴木さんは現在の「天職」を見つけるまでに、どのようなターニングポイントがありましたか。
大きなターニングポイントは、出産と転職です。
2012年に長男を出産して、自分だけではコントロールできないことが増えました。まずは子どもを大事にすることが優先で、そのためには子どもと一緒ではない時間を有効に活用したい。そんな中で、これからの自分の人生がどうあるべきかを考えたり、日本社会の生きづらさみたいなものも感じたりするようになりました。
キャリアとしても、社会課題解決に貢献したい思いを持ちながら、当時の仕事がそこから遠ざかっているのではないかという迷いもありました。2014年に次女が誕生して「バタバタするのはしょうがない。環境が整った最高のタイミングなんてない」と気づき、スタートアップをやってみようと思いました。
ドローンのスタートアップの日本上陸を手掛けたのは、2015年に起きたネパール大地震がきっかけです。その時に、ボランティアとしてドローンを使って文化遺産を測量し、復興につなげようとしているシリコンバレーの企業があると知りました。私自身、幼少期を海外で過ごして貧富の差を目の当たりにした経験から、元々社会課題に強い関心があり、なにかアクションをしたいと考えていたんです。
それまでは、モルガン・スタンレー、UBS証券を経てCOACHの財務担当というキャリアを歩んできました。悩んでいたタイミングでその企業を知り、テクノロジーのスピード感やスケール感に驚くとともに、「そういう形での社会貢献もあるのか」と世界が開きました。