そのうえで次の課題になっているのが、意思決定に関わる役職に女性が少ないこと。日本はVCファームのカルチャーとして、女性を組織のトップや意思決定のメンバーに起用しようとしない。どこかに「ガラスの天井」があるように感じています。
これに対しては、皆で実績を積み上げていくしかありません。女性のキャピタリストがユニコーン企業に投資をしたというような、明確な実績をつくることが大事です。そもそも日本にはユニコーン企業が少ないという問題もありますが。
また、「ガラスの天井」の一因として固定概念の問題もあります。私が元々いた金融業界では、女性の活躍に違和感はありませんでした。女性が金融に詳しく、豊富な知識を持っていることは周知の事実で、意思決定に参加することが当たり前になっているからです。
それに対し、スタートアップに多いテクノロジー分野に関しては、「女性にはわからないもの」という固定概念が根強く残っています。世界的な企業でさえ、数年前に「女性がエンジニアになるべきではない」という内容の発言をして問題になったほどです。
この固定概念は無意識的に、根拠なく存在しているものだと思っています。実はコンピューターの歴史をさかのぼると、初期の機能である計算などは、元は女性の仕事だったという事実もあります。そうしたところからストーリーを紡いで、固定概念を変えていきたいですね。
「自分が何をしたいのか」問い続けて
──最後に、U30世代に向けてアドバイスをお願いします。
人それぞれ、いろいろな可能性を持っていると思います。特にU30世代は、「早く何かを成し遂げないといけない」と焦っている人もいるでしょう。若いうちに外部から評価を受けることは良いことですが、時間がかかってでも自分が大切にしたいこと、成し遂げたいことを貫き、努力することもそれと同じくらい価値があります。
「自分が何をしたいのか」を自分に問い続けることこそが生きる意味ではないかと思います。私もそうしていきたいですし、今の若い人にもそうあってほしい。
また、たくさんの人に会い、いろいろな環境に触れることで多様性も見えてくるので、狭い世界に閉じこもるのではなく広い視野を持って活動してほしいですね。