ビジネス

2022.10.27 10:30

アディダスが「カニエ・ウェスト危機」について答える


「すべての状況は異なる」


「すべての状況は異なるので、全部に当てはまるような画一的な答えはありません。しかし、経験則としては、何が起こるかを見ることです」と、ソーシャルメディアのインフルエンサーと仕事をする会社、The Luxury Pergola(ラグジュアリー・パーゴラ)の共同設立者であるステイシー・エルモアはメールを通じて述べた。

「時には議論が1、2週間で収束し、通常業務を再開できることもあります。しかし、それ以外の場合は、その議論が話題として残り続ける(あるいは大きくなる)こともあり、その場合は、その有名人と仕事を続けることが、潜在的な反発に見合うかどうかを判断する必要があります」

「世界はブランドを中心に回っているのではないということを心に留めておきましょう。有名人の悪いニュースは、ブランドにとっても悪いニュースであることが多いのです。そして最後に、ニュースのサイクルは速く、もしあなたがセレブと別れることを決めたら、公然と彼らを困らせようとしないことです。縁を切るというのは常に悪い考えです」と、彼女は助言している。

その他の変数


アディダスのカニエ・ウェスト危機は「ブランドと有名人のコラボレーションがともなう固有のリスク、そしてブランドがそれにどのように反応するか」を示している。「議論の性質と有名人との契約条件はブランドがどのように反応するかについてしばしば指標となる事項です」と、トレド大学のマーケティング准教授であるエインズワース・ベイリーは、メールを通じて述べた。

「このような議論が起こると、そのブランドはその有名人と距離を置き、関係を終わらせることになります」

「しかし、関係を終わらせることが常に対応策であるとは限りません。ブランドは、それが浮気(Nikeはタイガー・ウッズを支持した)や抗議のひざまづき(Nikeはコリン・キャパニックを支持した)のように、一般的道徳にあっていないと考えられてることについての論争であるかどうかを考慮することもあるからです」と、ベイリーは振り返った。

基本ルールの設定


「ブランドや企業が他のブランドや有名人などとの関係を評価する場合、最も重要な作業は契約が結ばれる前に行われます」と、Otter(オッター)PRの広報担当者カサンドラ・カルバはメールで述べた。

「あまりにも多くの場合、ブランドは、その瞬間にその業界やメディアで注目されている人を探していて、このパートナーシップがどれだけ相互に有益なものになるかを本当に評価する時間をとっていません」

「アディダスのような企業の経営幹部は、ターゲット市場と提案するエンドーサーとの整合性を確認するだけでなく、その価値観、モラル、ミッションなども確認する必要があります。このようなことを事前に行うことで、パートナーシップの中で発生しうる多くのリスクや潜在的な問題を軽減することができます」と彼女は推奨している。

「最終的には、他のどんなパートナーシップよりも自社ブランドの評判を優先してください」と、カルバはアドバイスした。

forbes.com 原文

翻訳=上西 雄太

ForbesBrandVoice

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