賞味期限切れが近づいた商品、鮮度が落ちたり、傷がついたりした「余剰食品」を含め、小売の段階で廃棄される食品の価値は、販売して得られる利益の2倍ともいわれている。
こうした状況に対応しようと、循環型の新たな取り組みを始めたのが、スタートアップのドゥ・グッド・フーズ(Do Good Foods)だ。市場で流通させることができなくなった食品を店舗から回収して加工。飼料として養鶏場で使用し、鶏肉を生産して販売するという「クローズドループ」のネットワークを構築した。
ドゥ・グッド・フーズは提携する食料品チェーンの店舗に、賞味期限が切れた肉類、通常の販売ができなくなった青果物などを分類して入れる回収ボックスを設置。集めた食品をおよそ1億7000万ドル(約250億円)の費用をかけて建設した生産施設に運び、養鶏場で使う飼料の原料にしている。
この施設ではまず、回収したまだ食べられる食品を、約74℃で2時間かけて加熱殺菌。ひいて粉にした後、その他の飼料の原料と混ぜて、乾燥させる。この過程で使用する電力については、その分に相当する再生可能エネルギークレジットを購入している。
完成した飼料は、提携しているケージフリーの養鶏場で使用する。そして、その鶏から生産した鶏肉を、「ドゥ・グッド・チキン」のブランド名で販売している。これらのチキンはパッケージあたり、余剰食品およそ1.8kg、排出する温室効果ガスを約1.4kg-CO2e削減していることになるという。
食品ロスへの関心は高い
ドゥ・グッド・フーズの調査によると、米国の消費者は90%が食品ロスの問題に関心を持っており、71%は、その「プロセスと利点がわかれば、アップサイクル食品を購入する可能性がある」と答えている。また、85%は「食品ロスの削減に取り組んでいる食料品店で購入したい」と考えているという。